report 財政委員会速記録第八号 2018年6月22日

出席委員 14名

委員長
まつば 多美子君
副委員長
小松 大祐君
副委員長
石川 良一君
理事
増田 一郎君
理事
上田 令子君
理事
曽根 はじめ君
 
おじま 紘平君
 
伊藤 しょうこう君
 
うすい 浩一君
 
藤井 あきら君
 
清水 やすこ君
 
宇田川 聡史君
 
長橋 桂一君
 
清水 ひで子君
欠席委員
なし

出席説明員

財務局

局長
武市 敬君
経理部長財政企画担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
初宿 和夫君
契約調整担当部長
五十嵐 律君
主計部長
山田 忠輝君
財産運用部長
山根 恭子君
利活用調整担当部長
鈴木 光祐君
建築保全部長
小野 幹雄君
技術管理担当部長
飯泉 洋君
庁舎運営担当部長
後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長
小野寺 弘樹君

主税局

局長
目黒 克昭君
総務部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
小山 明子君
税制部長
副島 建君
税制調査担当部長
栗原 哲治君
調整担当部長
菊澤 道生君
課税部長
安藤 敏朗君
資産税部長
大久保 哲也君
徴収部長
川上 秀一君
特別滞納整理担当部長
新井 裕二君

会計管理局

局長
土渕 裕君
管理部長オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
野口 一紀君
警察・消防出納部長
加藤 政弘君
会計制度担当部長
斎田 ゆう子君
担当部長
木島 暢夫君

本日の会議に付した事件

会計管理局関係

報告事項(質疑)

  • 平成二十九年度公金管理実績(年間)について
  • 平成三十年度公金管理計画について

主税局関係

付託議案の審査(質疑)

  • 第百二十四号議案 東京都都税条例並びに東京都都税条例及び東京都都税条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例の一部を改正する条例
  • 第百二十五号議案 東京都宿泊税条例の一部を改正する条例
  • 地方自治法第百七十九条第一項の規定に基づき専決処分した東京都都税条例の一部を改正する条例の報告及び承認について

報告事項(質疑)

  • 宿泊税十五年間の実績と今後のあり方について

財務局関係

付託議案の審査

  • 第百三十八号議案 十三号地新客船ふ頭ターミナル施設(三十)新築工事請負契約(質疑)
  • 第百三十九号議案 都立水元特別支援学校(三十)改築工事請負契約(質疑)
  • 第百四十号議案 都立町田の丘学園(三十)東校舎棟改築及び改修工事請負契約(質疑)
  • 第百四十一号議案 東京スタジアム(三十)改修工事請負契約(質疑)
  • 第百四十二号議案 東京消防庁多摩消防署庁舎(三十)改築工事請負契約(質疑)
  • 第百四十三号議案 中防内五号線南側アプローチ(三十)建設工事請負契約(質疑)
  • 第百四十四号議案 新宿歩行者専用道第二号線Ⅲ期-一工区整備工事(三十 三-主四青梅街道)請負契約(質疑)
  • 第百四十五号議案 街路築造工事(三十 二-補二十六三宿)請負契約(質疑)
  • 第百四十六号議案 和田堀公園調節池工事その二請負契約(質疑)
  • 第百四十七号議案 野川大沢調節池工事(その二)請負契約(質疑)
  • 第百四十八号議案 権利の放棄について(質疑)
  • 第百四十九号議案 土地の売払いについて(質疑)
  • 第百六十四号議案 東京スタジアム(三十)電気設備改修工事その二請負契約(説明・質疑)

報告事項(質疑)

  • 入札契約制度改革の本格実施について
  • 工業用水道事業のあり方に関する有識者委員会の報告書について

特定事件の継続調査について

発言の抜粋

石川委員
 入札契約制度改革についてお伺いいたします。
 東京都は、昨年六月から、財務局所管の入札契約案件について改革を試行し、各局も十月から試行を実施いたしました。試行の主な点は、予定価格の事後公表、JV結成義務の撤廃、一者入札の中止、低入札価格調査制度の適用拡大等となっております。
 そして、入札契約制度改革は試行期間を終え、その経験を踏まえて本格実施の方針が示されたところであります。
 そこで、この間の経緯を全体的に総括をしながら質疑を進めていきたいと思います。
 猪瀬、舛添知事と二代続けて知事が辞職をするという事態に至ったことは記憶に新しいところであります。私も二年前の総務委員会で、舛添知事のさまざまな疑惑の究明のため質問に立った一人であります。辞職に至った理由を大くくりすると、古くて新しいともいえる政治と金の問題と公私混同疑惑をめぐってといえるわけであります。
 煎じ詰めると、都民国民の税金を一円たりとも無駄にしないということであり、その使途に説明責任を果たすということが必要になるわけであります。
 小池知事の出発点はここにあり、果たすべき第一の使命は、このことにしっかり応えられるための諸施策の検証であり、具体的な改革といえるわけであります。情報公開の重要性も、政策決定プロセスや結果のアカウンタビリティーを高める手段といえるわけであります。
 知事の交代は、議院内閣制の国の政権交代とは違いますが、ある種の政権交代であり、人事の停滞や制度のゆがみを正していくための揺らぎを与えることで、組織の活性化や制度の安定化、資源配分を正すことを図っていく機会となるわけであります。
 都政を進める上で、今まで何回となく特別顧問の活用による政策見直しは問題があるとの意見が出されましたが、しかし、一定の期間、外の目で施策を見直ししていくための手段として、顧問制度を選択することは何ら問題がないことと指摘をしておきたいと思います。
 都議会も、議員自身、身を正す意味もあって、議員報酬の削減、政務活動費の削減、費用弁償の廃止を初め、情報公開のための常任委員会のインターネット中継等、議会改革も今も取り組んでいるところであります。
 本年三月、入札監視委員会から、入札契約制度改革に係る検証結果報告書が示されたところであります。小池知事及び都政改革本部主導の改革は、これまで行政側からはなし得なかった幾つかの変化を実現した、入札監視委員会の審議が原則公開されるようになったと記しておりますが、具体的にどのような経緯と内容だったのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 平成二十九年三月末に公表いたしました入札契約制度改革の実施方針において、入札監視委員会の機能強化は、入札契約手続のチェック体制の強化策の一つとして位置づけられており、昨年度から積極的に取り組んでいるところでございます。
 具体的には、委員の定員を七名から十二名に増員し、制度部会と監視部会という常設の二種類の専門部会を設置し、議題に応じて集中的に審議できる体制を構築するとともに、審議は可能な限り公開で実施し、後日、議事録を公表するなど情報公開の徹底も図っております。
 今回の入札契約制度改革につきましても、試行の検証作業を実施した制度部会におけるさまざまな議論は、全て公開の場で実施したところでございます。
 こうした取り組みを通して、試行の検証作業に係る客観性を高めることができたものと考えております。
石川委員
 情報公開は、政治や行政における決定プロセスが不透明だと非効率な事例や不公正な事例が生ずるおそれがあるため、誰がどのような根拠で決定を行ったか、都民、国民が監視することができるようになるわけで、隗より始めよの例えのとおり、入札監視委員会の透明性をまず高めてきたことは答弁からわかりました。
 入札契約制度の見直しは、都民の税金の支出が適正に行われているかどうかチェックする上で最も重要な仕事の一つであり、制度の検証は、当然行わなければならなかったわけであります。
 ただ、制度にはおのおの歴史があり、法律の根拠があるわけですが、そこで、地方自治法では、入札契約制度についてどのように言及をしているのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 地方自治法第二百三十四条におきまして、売買、賃借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約または競り売りの方法により締結するものとされております。このうち、指名競争入札、随意契約または競り売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができると定められており、地方公共団体の契約は、一般競争入札によることが原則とされております。
 また、一般競争入札または指名競争入札に付する場合におきましては、予定価格の制限の範囲内で最低の価格をもって申し込みをした者を契約の相手方とする、いわゆる最低価格自動落札方式を原則としておりまして、その例外として、最低制限価格制度、低入札価格調査制度や総合評価方式が定められているところでございます。
石川委員
 入札契約に係る事務の基本は、地方自治法に定める最少の経費で最大の効果を求めることであり、東京都は、都民の皆様から預かった税金の無駄な支払いを排除し、最も効率的、効果的に行政施策を実現するために活用する責務があるわけであります。
 総務省のホームページでも、地方公共団体における調達は、その財源が税金によって賄われるものであるため、よりよいもの、より安いものを調達しなければなりません、そのため、地方公共団体が発注を行う場合には、不特定多数の参加者を募る調達方法である一般競争入札が原則とされています、一方、この原則を貫くと調達の準備に多くの作業や時間が必要となり、結果として当初の目的が達成できなくなるなど弊害が生じることがあり得ます、このため、指名競争入札や随意契約による調達が例外的な取り扱いとして認められております等々と述べられており、さらに地域活性化の観点から、地元企業が受注し地域経済に貢献することも求められており、この点も踏まえ調達がなされる必要がありますと述べております。
 競争性、透明性、公正性、経済性の観点から、競争入札を基本とし、競争性をどう確保していくのかが、まず検証の対象になるわけであります。
 そこで、都の入札契約制度改革のバブル経済崩壊前から現在に至る経緯についてお伺いいたします。
五十嵐契約調整担当部長
 国や地方公共団体の入札契約制度は、戦後から高度経済成長、バブル期を通じて、指名競争入札、最低価格自動落札方式を中心として運用されてまいりましたが、バブル経済崩壊以降、制度を取り巻く環境は大きく変化してまいりました。
 平成十二年に制定された入札契約適正化法では、この間の談合事件や汚職事件などの不正行為の多発に対応するため、予定価格の公表、一般競争入札の拡大など、入札手続の透明性の向上に向けた取り組みが強化されてまいりました。
 また、バブル後の景気後退により、建設投資の減少が続き、公共工事のダンピング受注が増加し、品質低下の懸念が高まる中で、平成十七年には品確法が制定され、総合評価方式の拡大等の品質確保に向けた取り組みの強化が図られてまいりました。
 さらに、平成二十六年の改正品確法では、老朽化する社会資本の維持更新を支える建設労働者の高齢化に伴う担い手不足について、中長期的な育成、確保の観点から、社会保険等への加入などの労働環境整備などの取り組みを進めていくことが追加されたところでございます。
 都におきましては、こうした国の動きを踏まえながら、バブル期以降、予定価格の公表、最低制限価格制度の見直し、総合評価方式の適用拡大などを進めてまいりました。
 平成二十八年三月には、品確法の改正や東日本大震災に伴う入札不調などへの対応といたしまして、入札に参加しやすい環境の整備に向けての取り組みを開始いたしまして、適正な予定価格の設定、ダンピング対策の推進、発注時期の平準化などの取り組みを進め、平成二十九年六月からは、今回の入札契約制度の実施方針に基づき、事後公表、JV結成義務の撤廃などの試行を実施してきたところでございます。
石川委員
 バブル経済崩壊以降の流れはよくわかりました。
 そこで、入札価格事前公表制度が導入された理由について伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 都におきまして、従来非公表としていた工事案件の予定価格について、平成十年より一部案件を除き事後公表を実施しておりましたが、平成十三年に都で発生いたしました工事契約に係る汚職事件を踏まえ、契約の透明性の一層の向上や不正行為の可能性の排除を目的に、平成十四年より競争入札に付す工事契約案件の全てに事前公表を導入したところでございます。
石川委員
 入札価格の事前公表は、予定価格の積算等の情報漏えい事故を防ぐことが可能であることに力点が置かれたわけであります。
 また、事前公表は、各事業者が入札価格を積算する上でのメルクマールともなってきたことも確かなわけであります。
 今回の入札契約制度改革を始める要因として、豊洲新市場建設などに見られる一者しか入札に参加せず、しかも予定価格の事前公表で、予定価格の九九・九%で落札をされるという結果が、都民から見て競争性や公正性に疑義が持たれることにつながることも挙げられているわけであります。
 そこで、予定価格の事前公表、一者入札でどのように競争性を担保してきたのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 競争入札におきまして、競争性を担保するためには、予定価格の事前公表、事後公表のいずれであっても、より多くの入札参加者を確保することとともに、入札参加者が自分以外の他の入札参加者の存在をわからないようにすることが重要と考えております。
 都が採用しております電子入札のもとでは、入札手続のほぼ全てをインターネット上で行うため、入札に参加する事業者は、落札者が決定されるまでの間、自分のほかに誰が入札に参加しているのかを知る手段はなく、結果的に一者だけの応札になった場合でも、応札した事業者は自分以外の応札者の存在を前提として入札することとなるため、事前公表であっても潜在的に競争性は担保されているものと考えております。
石川委員
 都では、ほぼ全ての手続をインターネット上で行う電子調達システムが導入されていることから、他に参加者がいるかどうかわからないことから競争性は担保されてきたということなわけであります。
 しかし、一者入札については、競争の過程が潜在化しており、都民に見えにくく、都民に疑念を抱かせるおそれがあることから、競争入札における契約の透明性、公正性を高めるため、入札参加希望者が一者以下の場合は入札手続を一度中止し、入札参加条件の緩和など試行では行ってきたわけであります。
 試行の後、一者入札を許容することになった経緯について伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 一者入札の中止につきましては、試行を検証した入札監視委員会から、都の事業進捗へのおくれを発生させ、ひいては都民サービスの低下につながるおそれが高いとのご指摘がございました。
 また、業界団体からは、一者入札の中止により入札に参加するための積算等の準備が無駄になってしまい、安心して入札に参加できないという意見もいただいたところでございます。
 一方で、今回の制度改革の主な狙いである、より多くの事業者に入札に参加してもらう環境の整備につきましては、JV結成義務の撤廃など他の取り組みにより着実に成果が出ているところでございます。こうしたことを総合的に勘案いたしまして、本格実施におきましては、一者入札の中止は実施しないこととしたものでございます。
 なお、今後は、入札参加者が一者以下となった場合には、辞退者等にその理由を聴取するなど、これまで以上に原因調査の取り組みを強化することにより、入札参加者をふやす努力を、今後、継続してまいります。
石川委員
 入札参加がそもそもない工事などもあり、また不調の多い工事、施工困難工事など、特別な事情がある場合、事業停滞を防ぐために一者入札を認めることも、試行の中で、その必要性が明らかになったわけであります。
 また今回、議案として出されております契約案件は、先ほど説明がありましたけれども、参加者が極めて少ないのが目立つわけであります。
 例えば、東京スタジアムに係る工事の議案は、入札参加可能であるのは四十四社であり、そのうちの一JVのみが参加をしたということになったわけでありますけれども、最初に東京スタジアムが建設された工事に参加しているわけでもない、建設のノウハウを蓄積しているわけでもないにもかかわらず、一JVしか希望企業がないということは、これは民需等が今は非常に強いということが推察されるわけであります。入札参加者数は極めて景気等に左右されるということになるかと思います。
 入札契約において重視しなければならないのが品質の確保と納期、竣工時期の厳守なわけであります。商品売買と同じで、工事でも高かろう悪かろうは問題外なわけでありますけれども、安かろう悪かろうも防がなければならないわけであります。ダンピングによる入札契約がこれに当たるわけであります。
 この間、工事の入札契約について、受注者が倒産をした件数と内容について伺います。
 また、倒産によって発注者である都の利益はどのように守られているのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 平成二十五年度から二十九年度までの間に、工事請負契約において受注者の経営不振や破産手続開始等により、都が契約を解除し、受注者が入札参加禁止措置を受けた件数は二十一件ございまして、対象企業の多くが結果的に倒産に至っているところでございます。
 受注者の履行不能により契約解除となった場合には、契約保証金を免除している場合を除き、都の経済的損失に対し、履行保証保険や契約保証金により金銭的な補償がなされることになっております。
 一方、解除された工事請負契約の未完成部分については、別の事業者との契約を結び施工することとなりますが、契約等に係る事務負担が生じることに加えまして、完成時期が当初の見込みよりおくれる場合、都民サービスにも影響を及ぼすおそれがあるというふうに考えております。
石川委員
 入札契約の実態を工事関係で見ますと、平成二十五年以降、事業者の経営悪化、すなわち倒産によって、契約の履行不能件数は二十一件であり、事業は一時的に中断されることになっても、それらは新たに入札契約を実施し、事業は完遂されているわけであります。
 さらに、都の工事関係事業に参加する各事業者は、保証会社の保証をつけることを義務づけられており、当事業を契約した事業者が契約を履行できなくなっても、都の損害は実質的には発生しない仕組みになっています。
 このことによって、入札契約における工事履行上の財政上の安全性は、受注事業者が倒産をしても確保されているというふうにいえるわけでありますし、工期延長による影響を除けば、結果として都の利益は守られてきたわけであります。
 低入札で契約に至った場合、工事の質はどのように担保されているのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 受注者の適正な履行を確保し、ダンピングを防止する観点から、低入札価格での契約につきましては、厳格な低入札価格調査を実施し、確実な履行がなされると判断できる場合に契約を締結することとしております。
 現在、低入札価格調査では、下請業者に不当なしわ寄せを生じないよう法定福利費が適切に計上されているかなど、積算内訳書の妥当性のチェックに加えまして、施工体制に関する調査や過去の工事成績評定をもとに、その履行状況の確認等を行うことで、当該案件の内容に適合した履行能力があるかどうかを判断しております。
 また、契約締結後におきましても、施工体制台帳などにより、粗雑工事の防止のための技術者の増員配置や下請業者の社会保険加入が適切に行われているかどうかを厳重に確認することとしております。
 今後も、こうした厳格な運用を続けることにより、工事の品質確保とダンピングの防止に努めてまいります。
石川委員
 低入札についても、低入札価格調査制度によって、工事の質の低下を防止するために、都の工事の主管課は落札業者に対して、技術者の増員を図り、監督体制の強化を図ることとなっており、工事成績評定も厳密に行うことになっております。
 今までに、低入札ということで際立った問題が発生したことはなく、この面での工事履行の安全性は図られているわけであります。
 また、そこで働く人たちの社会保険等の加入についても、施工体制台帳で確認がされているわけであります。
 公共工事の現場では、地域の業者に活躍する場を提供し、中小企業の成長や育成を図っていくことも大きな政策課題となっております。
 官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律において、地方公共団体は、国の施策に準じて、中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めなければならないとされております。各地方公共団体において、これらの規定を適切に活用していくことが求められているわけであります。
 JV制度は、中小企業の受注機会の確保や大規模工事経験の少ない中小企業の育成もあって進められてきたわけであります。
 中小企業の育成がJVによってどのようになされ、そのことはどのように検証されてきたのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 都は、中小企業の受注機会の確保等を目的といたしまして、昭和五十年より、高価格帯の工事案件を対象にJV結成義務を課してまいりました。
 こうした中で、昨年六月からの入札契約制度改革の試行では、JVの結成義務が事業者の入札参加の障壁となっていると考えられるため、より多くの入札参加者を確保する観点から、単体でもJVでも参加できる混合入札を取り入れたところでございます。
 この取り組みに対しまして、中小企業の業界団体からは、技術力向上に寄与するJV結成の意義を訴える意見が多く寄せられ、また入札監視委員会からは、混合入札の導入により入札参加者が増加するという効果が見られ、この取り組みを継続すべきとの評価がございましたが、それと同時に、中小企業の技術研さんの機会の確保と育成効果の検証に取り組むべきという提言もなされたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、本格実施に当たりましては、大企業と都内中小企業とのJV結成を条件とした技術者育成モデルJV工事を導入し、中小企業の技術研さんの機会を確保するとともに、JV工事の施工を通して中小企業が習得した成果等の報告を義務づけることにより、中小企業の育成効果を、今後しっかりと検証していくこととしております。
石川委員
 今後は、技術者育成モデルJV工事の導入によって、技術研さんの内容をしっかり検証することになったわけであります。名前だけのJVということになるようなことはあってはならないわけでありまして、着実に進めていただきたいと思います。
 入札契約の本格実施を前にして、我が会派、都民ファーストの会は、本年四月二十六日、都民ファーストの会東京都議団として、建設業関係団体から意見、要望を伺い、会派としての考えを取りまとめ、入札契約制度改革への反映を要望いたしました。その内容は四点に絞られ、概略は以下のとおりでございます。
 一、予定価格の事後公表は、多くの団体から事前公表の要望があり、低価格帯の工事については配慮すること、二、JV結成義務の撤廃については、今後も継続することとし、中小企業にとって技術力を養う機会であり、担い手育成という観点でJV活用を検討すること、三、一者入札の中止については、都の事業の進捗の支障にならないよう抜本的な見直しをすること、四、低入札価格調査については、調査を継続し、ダンピング対策を徹底することでございます。
 都民ファーストの会の要望を初めさまざまな要望を最終決定にどのように取り入れてこられたのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
 今回の試行につきましては、入札監視委員会の検証結果報告書、業界団体とのヒアリングで寄せられた意見、要望、それから都議会における議論などを通じ、さまざまな意見を頂戴したところでございます。
 業界などによって意見が隔たっている部分もある中、見直しによるメリットやデメリットを総合的に判断し、今回の本格実施の内容を決定したところでございます。
石川委員
 ただいまの答弁にありましたようなプロセスを踏んで、私どもの四点にわたる要望も取り入れられたことは確認ができました。
 今回の試行後の本格実施の最終決定は、特に、中小企業が都の入札に参加しやすい仕組みをつくることによって、中小企業の積算等に係る負担等を考慮し、低価格帯の案件については予定価格を事前公表とするなど参入拡大を図っていることや、都事業の時間的進捗にも配慮していることから、我が会派としても評価をし賛同するものであります。
 ただ、二〇二〇年オリンピック・パラリンピック後は、建設需要が落ち込み、消費税の税率アップなども想定され、厳しい景気の落ち込みも想定されております。入札契約制度に絶対はないわけで、経済状況や事業者の実態等を勘案し、時代状況に合わせた一者入札や価格の公表のあり方や低価格帯の見直し、総合評価方式の拡大など、変化に応じて見直しを実施する必要があるわけであります。
 今後の入札契約制度改革について、最後に財務局長の見解を伺います。
武市財務局長
 入札契約制度のあり方につきましては、地方自治法の理念に基づき、競争性、公平性、透明性の確保を基本としつつ、品確法、官公需法が求めるダンピングの排除、公共工事の品質確保、担い手の育成、中小企業の保護、育成などさまざまな要素のバランスをとりながら、総合的に検討を行っていく必要がございます。
 その際には、過去リーマンショック以降の時期には、低入札が問題となるような状況が発生いたしました。また、東日本大震災後には、入札不調が多発するようなそういった事態も生じております。
 そのように、目まぐるしく変わる社会経済状況の変化に対応した制度設計を行うことが求められるというふうに考えております。
 このような基本認識に立ちまして、入札契約制度改革につきましては、この間の試行状況や関係団体のご意見などを踏まえまして、これまでの試行において成果のあった部分は継続しつつ、明らかになった課題には適切に対応を図った上で本格実施に移行することとしたものでございます。
 今後、景気や社会状況の変化に伴いまして、入札契約制度を取り巻く環境も変わっていくことが考えられますので、今後とも、制度を取り巻く状況を見きわめまして、時代の変化を踏まえたよりよい制度の構築を目指して不断の努力を続けてまいりたいと考えております。

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