report 平成二十八年度公営企業会計決算特別委員会速記録第三号 2017年11月15日

出席委員 23名

委員長
小磯 善彦君
副委員長
小林 健二君
副委員長
神林 茂君
副委員長
米川大二郎君
理事
おじま紘平君
理事
細田いさむ君
理事
村松 一希君
理事
米倉 春奈君
理事
山崎 一輝君
 
古城まさお君
 
平 慶翔君
 
奥澤 高広君
 
舟坂 ちかお君
 
三宅 正彦君
 
西沢 けいた君
 
斉藤 れいな君
 
河野 ゆりえ君
 
田の上 いくこ君
 
たきぐち 学君
 
石川 良一君
 
山田 ひろし君
 
尾崎 あや子君
 
あぜ上 三和子君
欠席委員
なし

出席説明員

病院経営本部長
内藤 淳君
中央卸売市場長
村松 明典君
東京都技監都市整備局長兼務
邊見 隆士君
港湾局長
斎藤 真人君
交通局長
山手 斉君
水道局長
中嶋 正宏君
下水道局長
渡辺志津男君

本日の会議に付した事件

平成二十八年度東京都公営企業各会計決算の認定について(質疑)

  • 平成二十八年度東京都病院会計決算
  • 平成二十八年度東京都中央卸売市場会計決算
  • 平成二十八年度東京都都市再開発事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都臨海地域開発事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都港湾事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都交通事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都高速電車事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都電気事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都水道事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都工業用水道事業会計決算
  • 平成二十八年度東京都下水道事業会計決算

発言の抜粋

石川委員
 まず、再開発について伺います。
 分科会では、環状第二号線新橋・虎ノ門地区については、道路空間のデザイン等について、地元住民等と協働で取り組んできたことが確認されました。
 また、泉岳寺駅地区については、地下鉄駅の改良と再開発ビルの整備を一体的に進めるという数少ない特殊な事業とのことで、また、百六十メートルのビルも計画をされているということでございます。
 私は、かねてから、こうしたまちづくりを進めるに当たっては、合意形成が重要であり、そのためには、関係者が将来のまちの姿などについて共通のイメージを思い描けるよう、わかりやすい説明に取り組んでいくことが重要であると訴えてまいりました。
 そこで、環二地区では、関係者に対して、まちの姿をイメージしやすい説明となるよう、どのように工夫をしてきたのか、また、泉岳寺駅地区ではどのように取り組んできたのか伺います。
邊見東京都技監
 都はこれまでも、都施行の再開発事業に当たって、まちの将来像について、模型を活用して立体的に示すなど、わかりやすい説明に努めてまいりました。
 環二地区では、都と地元権利者、港区及び学識経験者による地上部道路景観検討委員会においてCG等を活用し、歩道のデザインなどについて具体的な検討を進めてまいりました。
 泉岳寺駅地区においても、今後こうした経験を生かし、地元権利者との協議会等において都営地下鉄泉岳寺駅を含む再開発ビルの全体像や、駅とまちをつなぐ地下広場について、模型によって、建物形状のみならず地下から地上への歩行者動線を具体的にイメージできるようにするなど、まちづくりに対する理解促進に向け工夫を凝らしてまいります。
石川委員
 昨年、私は、予算委員会でシンガポールのまちづくりについて紹介をさせていただきました。シンガポールは、ちょうど東京の二十三区ほどの面積で、五百五十万人以上が住み、現在も成長を続けるアジアで最も豊かな国であります。
 都市計画も、現状のまちを模型、いわゆるジオラマで再現をし、今後、建設されるであろうビルのデザインや高さもジオラマとして展示をするということで見える化をし、まさに計画的に都市計画を実現することに努力をしているわけであります。
 また先日、森ビルがジオラマで東京のまちを再現している展示場があるということで、早速視察をしてまいりました。東京の臨海部を含め港区を中心に、十三区ほどが一千分の一の大きさで忠実に再現をされておりました。ニューヨークや上海も同じ縮尺で比較できるようになっておりまして、まさに鳥の目でまちを鳥瞰することができるわけであります。木造密集地域の危険性も見るからに理解できるわけであります。
 東京の都市計画の弱点は、全体としての総合性や統一性がなかなか見てとれないというふうにいわれております。この部分が、今後、都の都市計画の大きな課題というふうにもいえるだろうと思います。
 東京都も、国と民間企業を交えたジオラマや3Dを作成し展示する、いわゆるシティ・フューチャー・ギャラリー構想が進行中でございます。泉岳寺再開発も、ジオラマを活用してのまちづくりの見える化を進め、事業の理解促進に努めていただきたいと思います。
 また、環二地区では、江戸時代の間知石を活用することで、歴史を感じさせるまちづくりに努めてきております。泉岳寺地区では、赤穂浪士四十七士のお墓もあり、日本で最も有名な話であり、ぜひまちづくりのデザインの中に歴史物語を生かしていただければと思います。
 次に、都立病院会計について伺います。
 実は私も、六年ほど前まで稲城市立病院の開設者として、病院経営の責任を負ってきたわけでございます。公社を含めますと、七千床を有する都の病院のような大組織ではありませんで、二百九十ベッドの中規模の病院なわけであります。
 しかも、三多摩の公立病院の中でも、自治体の規模が最も小さい、奥多摩はありますがちょっと規模が別なので、一番小さいわけで、病院開設者となってから、二十六年前でも毎年二億九千万円の税金を一般会計から投入しないと経営が成り立たないわけであります。
 他方、一般会計からの繰り入れの増加を放置すれば、基礎自治体のベースがもともと小さいわけですから、他の政策にストレートにしわ寄せを与えるというわけで、経営努力は欠かせなかったわけであります。そういう意味では、都立も同じ課題を抱えているわけであります。
 都立病院が一般会計から多額の繰り入れをしていることについて、どう考えるのか伺います。
内藤病院経営本部長
 一般会計繰入金は、都立病院の基本的役割である、採算性を確保しにくい行政的医療を提供するために不可欠な経費といたしまして、法令等に基づき行政が負担すべきものとして算定されております。
 繰り入れ対象となる行政的医療の範囲や算定方法につきましては、民間の医療機関等の医療提供体制の変化など、その時々の医療環境や医療課題等を踏まえまして、これまでも随時必要な見直しを行ってまいりました。
 こうした病院事業につきましては、患者さんからいただく診療収入はもとより、都民の貴重な税金が投入されていることの重みを十分認識し、不採算医療という言葉に甘んじることなく、今後とも、経営力向上に向けた不断の取り組みを進めてまいります。
石川委員
 ここ数年でも、三百九十億円前後が都立では一般会計からの繰り入れとなっているわけでありまして、二度の一兆円規模の都税収入の減を経験している東京都としても、一般会計からの繰り入れを減らすための努力は当然必要なわけであります。
 三多摩の公立病院は、かつては、東京都から病院運営事業補助金を一ベッド当たり定額で受けていたわけでありますけれども、平成十二年度からは、病床利用率と自己収支比率に経営指標を設け、その経営成績によって補助金をその達成度合いに応じて削減をするという厳しい制度を導入してきたわけであります。成果によって配分されるわけで、病院は極めて緊張感を持って指標の達成を求められるわけであります。
 達成できなければ補助金が削減をされるという、大変厳しい環境に今も置かれているわけであります。経営本部も各病院をしっかりとグリップをしていただきたいと思います。
 そこで、地方公営企業法の全部適用について伺います。
 平成十三年七月に都立病院改革会議の出した報告書には、都の病院事業が公営企業として合理的、能率的な経営を確保していくためにも、経営の自律性を高めるとともに責任体制を明確にしていくことが求められる、将来的に公営企業法の全部適用を目指していくべきであると述べております。もうそれから既に十六年が経過をしております。
 地方公営企業法の全部適用の目的と検討状況について伺います。
内藤病院経営本部長
 地方公営企業法の全部適用は、病院事業に対し、同法の財務規定等のみならず全ての規定を適用することにより、事業管理者の設置を可能とし、人事、予算等に係る権限を付与するものでございます。
 都では、地方公営企業法の全部適用を含め、公立病院の経営形態につきまして、他の自治体立の病院の見直しの状況など情報収集を行ってまいりました。
 また、平成二十七年三月に、総務省が策定いたしました新公立病院改革ガイドラインにおきましては、地域医療構想を踏まえた役割の明確化や、経営形態の見直しなどの視点に立った病院の経営改革が要請されており、現在、外部有識者で構成されます都立病院経営委員会におきましても、鋭意検討を行っていただいているところでございます。
石川委員
 多摩地域の七つの公立病院のうち四病院が全部適用と既になっているわけであります。経営に対する危機感によって導入をしたものといえるわけであります。
 導入によって、首長、いわゆる知事や市長ではない医療に精通した経営責任者を置くことで経営責任が明確化をし、独自の給与制度も導入できるわけであります。また、事務職員なども一般職員ではなくて、診療報酬に精通した職員を採用できるわけであります。また、緻密な人事考課に基づいて、特別ボーナスを出すということで、医師を初め職員の意欲を高めることができるわけで、都の財政状況がよくなったということで、改革の歩みをとめるべきではないというふうに思っているわけであります。
 公営企業法の全部適用を目指すことを強く求めておきたいと思います。
 次に、病院への寄附について、制度の現状について伺います。
内藤病院経営本部長
 平成二十八年度は、小児総合医療センターにおきまして、七名の方から書籍や玩具等、約七十二万円相当の物品をご寄附いただきました。
 都立病院に対する寄附は、病院経営本部寄附受領要綱におきまして、その種類が物品または現金であり、かつ寄贈者が営利企業またはこれに準ずる団体ではないなどの要件を全て満たす場合に限り寄附を受領することができると定めております。
 なお、寄附金の使途に関する透明性を確保する観点から、原則といたしまして、寄附は物品で受け入れることとしてございます。
石川委員
 全国の民間の病院は当然のこととして、公立の大学病院や公立病院も金額の多寡にかかわらず寄附を募ることで、最新の医療機器の整備や臨床研究にも生かされ、寄附者の意見を反映させることをうたった病院も多くあります。もちろん税制上の優遇措置もしっかりと説明をしているわけであります。
 現金も含め、寄附を経営強化のために拡大していく必要があるというふうに思いますけれども、意見を伺います。
内藤病院経営本部長
 現金による寄附の受け入れに関しましては、使途に関する透明性の確保に加えまして、寄贈者の意思を適切に反映させる仕組みなど、検討すべき課題があることから、今後取り扱いにつきまして検討してまいりたいと考えております。
石川委員
 国立大学法人大阪大学などは、寄附をいただいた方をホームページに掲載し、五十万円以上の方は名前をプレートに記し外来エントランスに掲示することまで始めているわけであります。ぜひ具体化をしていただきたいと思います。
 ちょっと余計ですけれども、都立大学も実はこの寄附、余りやっていないんですね。やっぱり東京都が財政力があるからということで、そこでとまっている、どうもそういうふうに思えてならないわけで、ぜひこういった点についても踏み出していただきたいと思います。
 人事制度等について伺います。
 病院も寄附を集めるという厳しい経営環境なわけですけれども、病院経営の柱となるのが医師なわけであります。まず医師が診療報酬を稼ぎ出し経営を支えることになるわけですが、一定の努力や成果を評価する仕組みは当然必要なわけであります。
 都立病院及び医療系職員の人事考課はいつから始まったのか、また、その目的について伺います。
内藤病院経営本部長
 都の人事考課制度におきましては、昭和六十一年度から、業績評価制度等を導入いたしまして、必要な制度改正を図りながら、長年にわたり運用を積み重ねてきております。
 都立病院の医療系職員の人事考課も、特に医師につきましては、臨床や研究等の成果に着目し、この制度の中で、他の都職員と同様に業績評価等を実施してございます。
 こうした人事考課は、職員の業績、意欲、適性等につきまして、客観的かつ継続的に把握し、これを職員の能力開発、任用給与制度、配置管理等へ反映させることによりまして、職員一人一人の資質の向上と組織全体の生産性の向上を図ることを目的といたしております。
石川委員
 都が人事考課制度を苦労しながら早期に導入したことは高く評価をさせていただきたいと思います。
 また、経営成績が一定、人事考課の中で評価されることになっていることについても評価をさせていただきたいと思います。
 それでは、医師の評価を多面的に行うことについて伺います。
内藤病院経営本部長
 都ではこれまで、職員に対する多面的評価は行われてきませんでしたが、平成二十九年度からは、先行的に本庁の課長級職員を対象に、部下職員や同一部内の課長級職員が、対象者の姿勢や行動につきまして、アンケート形式で回答するマネジメントレビューが実施されております。
 医師に対する仕組みにつきましては、今後の都の人事考課制度の動向のもとで対応することになると認識してございます。
石川委員
 例えば、稲城市立病院では、平成十二年度から全医師を対象に、一般職とは別に、医師人事考課制度をスタートさせております。診療、経営の両面にわたって努力をし、成果を出した人が報われる制度としたわけであります。
 病院が望む医師の評価として、一、接遇、服務規律、二、病院運営への貢献、三、診療姿勢、四、医療安全、五、学習姿勢の五項目と三十の小項目に分類をして評価をしているわけであります。また、個人評価、診療科評価、院長評価、病院貢献評価を加味する仕組みとなっております。
 さらに、医師を、看護師、コメディカル、事務部門を評価する、いわゆる多面評価を行うことで、より立体的な評価を行うことになっているわけであります。
 結果としては、考課による評価だけでなく、医師の育成にも役立てることができるように工夫をされているわけであります。
 これらの多面評価制度をぜひ都立でも取り入れていただきたいというふうに考えておりますけれども、本部長の見解を伺います。
内藤病院経営本部長
 先ほどご答弁申し上げましたマネジメントレビューは、仕事の進め方、部下とのかかわり、組織運営など、課長のマネジメント力向上を通じさらなる組織活性化を図る取り組みであると認識してございます。
 都としての対象の拡大につきましては、その実施状況を踏まえ検討されるものと考えておりますが、病院経営本部としても、他病院の事例などの情報収集や研究を重ね、医師への導入につきまして所管局と調整していきたいと考えております。
石川委員
 内藤本部長は、人事や、あるいは人事考課等も含めたある種のプロでもありますので、ぜひ総務局等々含めて協議をして、必ずしも、全てが都立病院がベストだというわけではないわけで、やはり外から学ぶべきものはしっかりと吸収をしていただきたいと思っております。ぜひ検討をし、実現をしていただきたいと思います。
 次に、働き方改革について伺います。
 二〇一六年八月に閣議決定した働き方改革は、企業文化や社会風土も変えようとするものであります。多様な働き方を可能にし、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジとされております。具体例として、長時間労働の抑制、副業解禁、朝型勤務などが挙げられております。
 都立病院の医師の年次有給休暇の取得日数については、一部コメディカル職員を含む診療部門を単位として、平成二十八年の職員一人当たりの年次有給休暇の取得日数は七・六日ということでございます。医師だけのデータはないということでございます。
 平成二十八年度の医師の超過勤務時間は、一人当たり年間二百八十四時間でございます。
 そこで、医師のライフワークバランスについて伺います。
内藤病院経営本部長
 医師を初め、全ての職員が生き生きと仕事ができる勤務環境を整備することは、医療の質の向上にも寄与し、重要であるものと認識しております。
 都立病院では、医師の専門性の発揮や負担軽減のため、診療の周辺業務を担う補助者を平成二十八年度は百十名配置いたしました。また、日勤に続き、患者対応が多い準夜帯は勤務とし、深夜帯のみを宿直といたしまして、翌日は勤務を要さない一直二勤体制の導入を進めてきてございます。
 このほか、育児と仕事の両立を支援するため、全病院に院内保育室を整備するとともに、育児短時間勤務制度を導入しておりまして、平成二十八年度における医師の利用は、院内保育室が四十一名、育児短時間勤務制度が十八名でございました。
 今後とも、働きやすい勤務環境の整備を進めまして、職員のライフワークバランスの実現に努めてまいります。
石川委員
 医師といいますか--労働基準法では三百六十時間が年間の超過勤務のアッパーというふうにいわれているわけであります。
 働き方改革を進めることは、医師や看護師をより確実に確保するという面でも極めて重要な施策となっております。特に、医師の兼業などの見直しなどは医師確保にとっても重要なわけであります。
 最先端の医療機器や医療技術の開発だけでなく、働き方の最先端も目指していただきたいと思います。
 次に、平成二十八年度に提起された患者との訴訟事案の件数及び内容について伺います。
内藤病院経営本部長
 平成二十八年度に提起されました医事関係訴訟の件数は九件となっております。このうち、新たに第一審に提起された件数は三件ございます。
 主な内容といたしましては、治療処置に関するもの、診療診断に関するもの、緊急措置入院に関するものなどがございます。
石川委員
 件数、内容についてはわかりました。これらをどのように減らしていくのかも、都立病院の信頼を高めるという意味では非常に重要なわけであります。
 そこで、都立病院では、患者のアドボカシー、権利擁護などというふうに訳されますけれども、アドボカシーや総合オンブズマン制度など、弱い立場に置かれがちな患者の意見や要望を病院に確実に伝える仕組みがあるのか伺います。
内藤病院経営本部長
 都立病院は、平成十三年に都立病院の患者権利章典を制定いたしまして、患者と医療提供者が互いに信頼関係を構築した上で、患者の自己決定を尊重した医療を提供することを基本方針としております。
 このため、全都立病院に患者の声相談窓口を設置いたしまして、病院への疑問や苦情などを傾聴し、内容に応じて関係部署につなげるなど問題の解決を図っており、平成二十八年度における苦情、要望、感謝の声は、八病院合計で九千三百二十二件承りました。
 また、平成二十七年度からは、全都立病院に患者支援センターを開設いたしまして、医療ソーシャルワーカーを中心に、医療面はもとより、生活面、心理面も含めた相談支援を実施するなど、さまざまな場面で患者の権利擁護や苦情申し立てなどに対応しているところでございます。
石川委員
 苦情は、病院改善のための重要な提言と見ることもできるわけでありまして、苦情や要望等が九千三百二十二件もあり、その相談内容が的確であったか、第三者の立場で審査をする機関も求められるわけであります。
 相談窓口という制度からもう一歩踏み込んで、患者の権利擁護の制度化をぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、医師、看護師アカデミーについて伺います。
 都立病院では、深刻な医師不足に対応するため、大学医局のみに依存せず、都立、公社病院が一体となって、約七千ベッドのスケールメリットを生かした豊富な症例等を活用し、みずから計画的に質の高い医師の育成を行うことで、安定的な医師の確保を図ることを目的に、平成二十年度から医師アカデミーの運営を開始しております。
 平成二十八年度は、百四十のコースを設け、習熟度に応じたきめ細かい指導を行うとともに、ERにおける救急医療の研修や、島しょ医療機関への派遣、災害医療研修や感染症対応などの研修を通じて、総合診療能力と専門臨床能力をあわせ持った質の高い医師の育成を図っているところであります。
 都内の公立病院の医師や看護師の医師アカデミー、看護アカデミーへの参加の状況について伺います。
内藤病院経営本部長
 お話の東京医師アカデミーは、都立、公社病院だけでなく他の公立病院や民間病院におきまして、初期臨床研修を修了した医師を対象に、都立、公社病院におきまして、非常勤職員として採用いたしまして、専門臨床研修を行うものでございます。
 また、東京看護アカデミーは、都立病院に勤務する看護師を対象に、高度な臨床能力を段階的に身につけていくための研修を体系的に実施するものとなってございます。
 都内の公立病院との今後のさらなる連携のあり方につきましては、現在検討を進めているところでございます。
石川委員
 都内の公立病院でも、医師アカデミーの機能が求められているわけでありますけれども、残念ながら、現状では対応することは困難なわけであります。
 非常勤職員として採用した上で研修を行うことで一定の交流が果たされるということでありますけれども、工夫をして、各公立病院の職員のままで研修に参加できるような道をぜひ開いていただきたいと思います。
 また、看護師についても同じことがいえるわけで、東京の全体の医療技術を上げるという視点も重要なわけであります。よろしくお願いいたします。
 メディカルソーシャルワーカーについて伺います。
 都が実施する地域包括ケアシステムの構築については、地域医療構想調整会議での検討状況や都立病院経営委員会での議論も踏まえ、今後の都立病院の担うべき医療の方向性について、次期中期計画の中で検討中とのことでございます。医療と介護の連携は今まで以上に重要になり、在宅医療の重要性も高まっていくと思われます。計画の中にしっかり位置づけをしてもらいたいと思います。
 医療と介護とのかけ橋となるのがメディカルソーシャルワーカー、MSWであります。メディカルソーシャルワーカーの使命と都立病院における今後の活用について伺います。
内藤病院経営本部長
 メディカルソーシャルワーカーは、医療機関等におきまして、社会福祉の立場から、患者や家族の抱える経済的、心理的、社会的問題の解決を援助し、円滑な転退院及び社会復帰の促進を図ることをその使命としております。
 都立病院におきましては、療養型病院等への転院支援や、生活保護、医療費助成などの福祉制度の案内、退院に向けた地域の関係機関との連絡調整を担ってございます。
 現在、独居高齢者や認知症患者など、退院支援を必要とする方が増加しているほか、児童虐待やDVなどにも適切な対応が求められており、医療ソーシャルワーカー、メディカルソーシャルワーカーによる相談支援はますます重要性を増すものと認識してございます。
 今後も、支援を必要とする方を区市町村など関係機関につなぐコーディネーターとしての役割を地域の中で確実に果たしてまいりたいと考えております。
石川委員
 来年は、診療報酬、介護報酬同時改定となり、医療と介護の連携は今まで以上に重要になり、在宅医療の重要性も高まっていくと思われます。医療と介護を初めとする現場の課題を担い、また、最もよく知る職がメディカルソーシャルワーカーであります。
 都立病院とその他の施設や家庭とのかけ橋となるのもメディカルソーシャルワーカーであります。各病院に配置されているメディカルソーシャルワーカーの協議機関を設置して、現場で特に何が必要なのかを把握するための組織化を進めていただきたいと思います。
 この病院関係の最後に、今までいろいろと伺ってきましたけれども、本部長の経営改善に向けた決意を伺いたいと思います。
内藤病院経営本部長
 今後の経営改善に向けた取り組みについてでございますが、現在、国におきまして議論が進められている平成三十年度診療報酬改定では、マイナス改定が見込まれるなど、病院事業にとっては、大変厳しい状況になることが予測されております。
 このような中でも、新たな施設基準の取得など、可能な限り診療報酬改定に適切かつ迅速に対応し、経営への影響を最小限に抑えるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、先ほどもご答弁の中で触れさせていただきました新公立病院改革ガイドラインにおける経営改革の要請を踏まえ、現在、都立病院経営委員会におきましても検討を行っていただいているところでございます。
 引き続き、都立病院に期待される役割をきちんと果たしていくため、本部と病院現場とが一体となった不断の経営改善努力の積み重ねによりまして、都立病院の経営力向上に努めてまいりたいと考えております。
石川委員
 ここのところ、新聞報道も診療報酬について連日のように書いているわけであります。
 一方、少子高齢社会は、税を負担する人は減り続け、特に、医療、介護、福祉に対する給付は増大をし続けるわけであります。もう、このトレンドは変えようがないわけであります。
 医療費を圧縮するという方向に進むことは、当然これは明らかなわけであります。将来をにらんだ経営努力を求めておきたいと思います。
 次に、水道事業について伺います。
 水道は、住民生活と都市活動を支える最重要インフラであり、東京水道は長い歴史の中で、水道需要の急激な拡大や河川の水質悪化などの課題に対して、今日まで約一千三百万人の住民へ、蛇口からそのまま飲める安全でおいしい高品質な水を安定的に供給してきたわけであります。
 このような大規模な事業体は、世界を見渡してもほかになく、平成二十八年度を初年度とする経営プラン二〇一六において、世界一の水道システムを一層進化させ、国内外に発信し、次世代につなげていくとして事業運営に取り組んでいくとしております。
 そこで、東京水道を世界一の水道システムというふうにうたう理由について、改めて伺います。
中嶋水道局長
 東京水道は、都民生活と首都東京の都市活動を支えるライフラインであり、水源から蛇口までの一貫した事業運営、約二万七千キロメートルに及ぶ配水管総延長、漏水率約三%を達成している漏水防止技術など、世界有数の規模と技術水準を持つ水道事業体でございます。
 世界の他都市と比較した調査におきましても、平成十六年に、イスタンブール市が世界主要十三都市の上下水道事業について調査、比較しました結果、東京が一位となっております。
 また直近では、当局が平成二十七年度に、水道水を飲める先進国の人口百万人以上の首都を比較しましたところ、供給安定性を示す一平方キロメートル当たりの配水管延長、事業効率を示す漏水率、適切な維持管理を示す管路の更生、更新率におきまして、いずれも東京がトップとなっております。
 これらのことから、東京は世界一の水道システムを運営していると確信してございます。
石川委員
 局が世界一の水道システムを表明していることは理解をいたしました。
 確かに、漏水率が低いことや管路の更新率が高いことは水道事業運営において重要な要素なわけであります。他方、供給者目線ではなく、消費者の視点も重要かと思います。
 そこで、都の水道料金は世界の各都市と比べてどのような水準にあるのか、伺います。
中嶋水道局長
 水道料金の水準は、各都市における水源の状況、人口密度や需要構造、物価水準や経営形態など、さまざまな要因によって決まることから、一律に他都市との比較で論じることは困難でございます。
 ちなみに、一般家庭におきまして、一カ月に十立方メートルを使用する際の水道料金につきまして、各都市が公表している料金表などから、平成二十七年度に当局が試算した結果を申し上げますと、東京の九百七十円に対しまして、ロンドンは二千四百十円、パリは二千五百十六円、ニューヨークは三千二百二十九円でございました。
石川委員
 世界の大都市と比較をする限りは、料金が比較的低く抑えられているということは理解をいたします。
 各国の比較はそうなわけでありますけれども、国内都市との比較では、家庭用口径十三ミリで一カ月に十立方メートル、先ほどの話のありましたように、横浜市は九百四十六円、名古屋市は七百十八円など、東京よりも料金が安い都市もたくさんあるわけでございます。
 水道事業は、都民から得た料金で事業運営を行う公営企業であり、ある種、独占企業でもあり、特に経営の透明化と消費者の水道事業への要望をしっかりと受けとめる必要があるかと思います。
 小池知事が就任してから平成二十八年九月一日に自律改革が始まりました。水道局では、自律点検改革の取り組みとして、水道事業の見える化を掲げております。
 そこで、全庁的に取り組みが進められてきた自律改革について、水道局における平成二十八年度の成果と今後の進め方について伺います。
中嶋水道局長
 当局は、昨年九月、自律点検・改革推進本部を設置いたしまして、全ての事業について再検証を行いました。再検証に当たりましては、事務事業の総点検、若手職員の問題意識の吸い上げ、お客様の生の声という三つの視点のもと、職員及びお客様から改革の提案を受け付けてまいりました。
 その結果、八百九件の提案から、稼働中の小規模施設を生かした職種の枠を超えた訓練やタブレット端末を活用した窓口サービスの向上など三百七十七件を採用し、実施に向けた取り組みを進め、一部については現在実施しております。
 今後は、現場を持つ水道局の強みを生かし、ご意見をいただいたお客様を訪問し直接問題点を伺い改善につなげますとともに、PDCAサイクルを通じて不断の業務改革を推進してまいります。
石川委員
 八百件を超える提案があり、職員のみならず、都民の意見も吸い上げて、自律改革の参考にしたという点では評価をさせていただきます。
 また、現場に赴きお客様に意見を伺い掘り下げるなど、さまざまな改革について引き続き取り組んでもらいたいと思います。
 そこで、平成二十四年に一元化された多摩地区の浄水所等水道施設の中で、活用していない事務所などがなぜあるのか、伺います。
中嶋水道局長
 多摩地区におきましては、都営一元化や事務委託の解消を進める中、遠隔操作による集中運転監視システムを順次導入することで、数多くある小規模な浄水所や給水所を無人化し、効率的な施設管理体制を構築してまいりました。
 このため、これらの施設の多くで、職員の常駐管理を要しない事務所が発生いたしました。
 こうした事務所は、お客様窓口であるサービスステーションのほか、倉庫や資材置き場などとして使用しております。
 セキュリティーに万全を期すことが必要な水道施設内にある事務所は、民間へ貸し出すことなどが困難であるため、引き続き局事業などにおきまして有効活用を検討してまいります。
石川委員
 稲城市内にあります大丸の施設などにつきましては、二十四年からもう五年間、そのままの状態で置かれているわけであります。
 住民の皆さんからすると、せっかくスペースがあるわけで、これはやっぱりきちっと活用すべきじゃないかと、これは当然なことだろうと思います。
 ましてや水道局は、都内の年間電力使用量の一%という大量の電力を使用しているために、再生可能エネルギーの導入などエネルギーの効率化を進めているというふうに聞いているわけであります。
 そこで、これは提案でございますけれども、大丸浄水所などにおいては、太陽光発電の導入などをぜひ検討していただいてはいかがかと思います。こうした活用であれば、セキュリティーも確保でき、また、住民の方々にも使用しているということが理解をしていただけるのではないか、スペース的にも十分可能だと思います。ぜひ検討していただきたいと思います。
 次に、来年開催予定のIWA世界会議は、日本での開催は東京が初めてということでございます。本世界会議では、東京が強みを有する技術やノウハウを発信することで、企業のビジネスチャンス拡大など、日本の産業力強化や東京のプレゼンス向上につながるわけであります。
 そこで、東京の水道事業をもっと世界にアピールするため、ペットボトル「東京水」は非常に有効であると認識をしております。十一月十日の知事の記者会見で、ペットボトル「東京水」のデザインが一新されたとの発表を拝見させていただきました。
 そこで、新ラベルの「東京水」に係る今後の広報展開について伺います。
中嶋水道局長
 ペットボトル「東京水」は、安全でおいしい水道水を実感していただくことを目的に、平成十六年度からPR用として製造、広く配布しております。
 このたび、IWA世界会議などの国際的なイベントに向け、世界に誇る東京の水道システムを国内外に広くアピールするため、従来のラベルから十一年ぶりにデザインを一新いたしました。新たなデザインの「東京水」は、当局の広報イベントやスポーツ関連イベントなどで配布してまいります。
 今後このデザインは、パンフレットや広報グッズなどへ多角的に展開し、当局の新たなブランドイメージとして定着を図ってまいります。
 こうした取り組みにより、高品質なイメージを水道水へ結びつけることで蛇口からの飲用行動を促進してまいります。
石川委員
 ペットボトル「東京水」の平成二十八年度の販売実績は、四万七千本余りと聞いております。販売箇所は、都庁の庁舎の売店や都立公園、東京駅、通信販売などというふうに聞いております。
 オリンピック・パラリンピックも控えており、ラベルデザインが一新されたので、販売箇所数もふやし、国内外に東京の水のすばらしさをぜひPRしていただきたいと思います。
 次に、合流式下水道の改善について伺います。
 区部の約八割の地域で採用されております合流式下水道は、環境衛生の改善と雨水排水の両方を早期に達成できたというメリットがある一方で、強い雨が降ると、まちを浸水から守るため汚水がまじり、雨水を河川などへ放流せざるを得ないという課題を抱えております。
 そのため、我が会派は、さきの分科会質疑において、合流式下水道の改善の取り組みについて質疑を行いました。現在は、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を進めているという答弁をいただいております。
 そこで、合流式下水道の改善対策における貯留施設の平成二十八年度までの取り組み状況について伺います。
渡辺下水道局長
 合流式下水道において、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設については、分流式下水道と同程度まで改善するために必要な貯留量三百六十万立方メートルの整備を長期的な目標としておりますが、当面は、平成三十六年度から強化される下水道法施行令の基準を達成するために、百七十万立方メートルの整備を目指しています。
 平成二十八年度末までに、累計約百十五万立方メートルの貯留施設の整備を完了いたしました。
 今後とも、良好な水環境の創出に貢献するため、合流式下水道の改善対策を積極的に推進してまいります。
石川委員
 当面の法令対応、その先の分流式下水道並みまで水質を改善をするという長期的な目標の達成に向け、降雨初期の特に汚れた下水を貯留する施設の整備を着実に進めているということでございます。
 良好な水辺環境形成に向けて頑張ってもらいたいと思います。
 下水道は、重要な都市インフラであるとともに、ふだん目にすることが少ないわけであります。
 下水事業への都民理解を促進するには、応援団の獲得が必要であります。下水道局では、都民の下水道への理解を深めるために、見せる化を推進することとし東京下水道知ってもらい隊をスタートさせております。
 そこで、見せる化を推進するための東京下水道知ってもらい隊の取り組みについて伺います。
渡辺下水道局長
 下水道は、都民の暮らしにとって、あって当たり前のものとなっていることから都民の関心が低く、事業へのご理解が得られないこともあります。
 そこで下水道局では、お客様の世代や下水道事業に対する関心、認知度などに応じ、多様な情報媒体などを活用して、より積極的に施設や事業効果を見せる化し、戦略的に東京下水道をアピールしていくこととしております。
 見せる化の推進に当たっては、職員一人一人の意識改革が重要であることから、東京下水道知ってもらい隊の取り組みを昨年九月より開始いたしました。下水道局全職員が東京下水道知ってもらい隊と書かれたネームプレート着用し、日々の業務の中で、お客様目線でわかりやすい説明や接遇を実践することとしております。
 今後とも、都民のご理解とご協力を得て円滑に事業を推進していくため、東京下水道知ってもらい隊の取り組みを継続してまいります。
石川委員
 私の地元であります南多摩水再生センターでは、震災時のバックアップの確保など、相互融通機能を有する連絡管の実物大の模型やソーラー発電によるメガワット級の施設も表示をされております。ぜひこういったものもPRをしていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

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