report オリンピック・パラリンピック等推進対策特別委員会速記録第四十三号 2016年11月18日

出席委員 23名

委員長
高島なおき君
副委員長
吉倉 正美君
副委員長
秋田 一郎君
副委員長
吉原 修君
理事
遠藤 守君
理事
小山くにひこ君
理事
山崎 一輝君
理事
相川 博君
理事
吉田 信夫君
 
菅野 弘一君
 
おときた駿君
 
川松真一朗君
 
山内れい子君
 
まつば多美子君
 
石川 良一君
 
とくとめ道信君
 
谷村 孝彦君
 
鈴木 隆道君
 
今村 るか君
 
畔上三和子君
 
林田 武君
 
立石 晴康君
 
川井しげお君
欠席委員
なし

出席説明員

オリンピック・パラリンピック準備局

局長
塩見 清仁君
次長理事兼務
岡崎 義隆君
技監
上野 雄一君
技監
三浦 隆君
技監
小野 恭一君
理事
小山 哲司君
総務部長
鈴木 勝君
調整担当部長
雲田 孝司君
総合調整部長
児玉英一郎君
連絡調整担当部長
岡安 雅人君
連携推進担当部長
丸山 雅代君
自治体調整担当部長
井上 卓君
事業推進担当部長計画調整担当部長兼務
戸谷 泰之君
運営担当部長
田中 彰君
パラリンピック担当部長障害者スポーツ担当部長兼務
萱場 明子君
大会施設部長
根本 浩志君
競技・渉外担当部長
小野 由紀君
開設準備担当部長
鈴木 一幸君
施設担当部長
花井 徹夫君
施設整備担当部長
小野 幹雄君
輸送担当部長選手村担当部長兼務
朝山 勉君
スポーツ施設担当部長
田中 慎一君
スポーツ推進部長
小室 明子君
スポーツ計画担当部長
川瀬 航司君
ラグビーワールドカップ準備担当部長
国際大会準備担当部長兼務
土屋 太郎君

総務局

局長
多羅尾光睦君
次長理事兼務
榎本 雅人君
総務部長
小暮 実君
都政改革担当部長
小笠原雄一君

本日の会議に付した事件

二〇二〇年に開催される第三十二回オリンピック競技大会及び第十六回パラリンピック競技大会並びに二〇一九年に開催される第九回ラグビーワールドカップ二〇一九の開催に向けた調査・検討及び必要な活動を行う。

報告事項(質疑)

  • 東京二〇二〇大会に向けたボランティア戦略(案)について(説明)
  • オリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書について(質疑)
  • 新規恒久施設の見直しについて(質疑)

発言の抜粋

石川委員
質問に入ります前に、基本的な時代認識をまず申し上げておきたいと思います。
我が国経済は、失われた二十年や二十五年などともいわれてきましたが、一九八五年から九〇年にかけての土地バブル、株バブルの生成と崩壊の後遺症によって、長期間デフレに悩まされてきました。
そして、人口の高齢化、労働人口の減少、納税者の減少、少子化、未婚化、一人世帯の増大、限界集落の出現、医療費、介護費用、セーフティーネットの整備にかかわる予算の増大、地球環境問題など、多くの課題をこの間解決できずに来たわけであります。
また、二〇一一年の東日本大震災の被害と原子力発電所の事故は甚大で、長期にわたる復興の努力が求められ、国全体が厚く、暗く、重い雲に覆われていたといっても過言ではない状況だったわけであります。
しかし、二〇一三年九月、オリンピック・パラリンピック東京大会が二〇二〇年に決定したことで、都民、国民のマインドを大きく変えることになったわけであります。
私自身、本委員会で次のとおり述べております。
東京オリンピック・パラリンピックの二〇二〇年大会の決定は、各方面に多くの期待と夢をもたらすことができたといえると思います、オリンピック・パラリンピックを契機に、社会がよくなることへの期待は高く、元気に二〇二〇年東京五輪を迎えるという目標ができたと語る高齢者も多いわけであります、政府も、二〇二〇年、さらにはその先を見据えた政策立案に動き始めており、リーマンショックや東日本大震災への対応など守りの姿勢から、二〇一三年に入り、海外展開、MアンドA、事業再編、新事業の展開など攻めの姿勢が随所に見えてきたわけであります、政府の成長戦略とオリンピック・パラリンピックに合わせた、二〇二〇年をターゲットにした計画を策定する動きも見られるというふうに述べてきたわけであります。
そしてまた、二〇一三年はアベノミクスがスタートした年であり、円安、株高が、もやもやした雲を吹き飛ばすような勢いで我が国経済を牽引してくれる期待を持たせてくれた時期ともいえるわけであります。
しかし、三年が経過し、我が国経済も、中国経済の失速や原油安も影響しているとはいえ、日銀による金融緩和策と財政出動を中心とする政策に頼るだけでは、インフレターゲットの達成もかなり厳しいものとなっております。
また、国、地方を合わせて借金は一千兆円を超え、さらに毎年ふえ続けており、日銀が国債を買い支えることができなくなったときに何が起こるのか、予想もつかない状況を迎えつつあります。
また、二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催年をピークに、東京もいよいよ人口減少社会に突入し、二〇二五年問題といわれております団塊の世代が後期高齢者入りする日も刻々と近づいております。
先ほど述べた医療、介護、福祉等の扶助費がふえ続けていく時代に既に突入しており、これをどう支えていくのか答えは出せておりません。必要な扶助費を確保するために消費税の税率を上げることも、二〇一七年の消費税の税率引き上げを見送ったことからすると、容易に税負担を都民、国民に求めることは困難なわけであります。
東京都は、ここ数年、税収が伸びておりますが、だからといって将来への不安を解消することはできず、むしろ今から介護施設の整備などの超高齢化対策や、喫緊の課題である子育て支援策などに備えていくことも、今まで以上に求められているわけであります。
五輪誘致決定後三年が経過し、将来を展望したとき、二〇一三年当時の希望や夢は急速に変化をしてきていることが、オリンピックに対するアンケート調査の結果などからもわかるわけであります。都民意識も大きく変化しつつあり、オリンピック・パラリンピックに向ける視線もより厳しいものになりつつあります。五輪の成功は望むが、少しでも切り詰められる支出は切り詰め、将来の支出に備えてほしいというものだろうと思うわけであります。
ですから、今回、都政改革本部から出された見直し案は、既に着工している施設もあり、まさにぎりぎりでの選択肢の拡大といえるわけですが、既に述べたようなことから、オリンピック・パラリンピックの全体経費のあり方を、大会終了後の維持管理、事業の運営も視野に入れて見直しが必要であるということで理解をするものであります。
そこで伺います。
三つの新規恒久施設の見直しは、都政改革本部、オリンピック・パラリンピック調査チームの新規恒久施設の整備に関する報告に基づき、都として、各施設の見直しを検討するということになったと報告があったわけであります。ここでいう都としては、オール東京都ということでよいのか確認をさせていただきます。
根本オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部長
先ほどもご答弁させていただきましたとおり、今回ご報告をしました三施設の検討案は、十一月一日の第三回都政改革本部会議におきまして調査チームからの報告を受け、知事より複数案で議論を重ねるとの指示があったことから、報告された複数案を東京都の案として検討することとなったものでございます。
石川委員
今回の三施設について、都からの提案を絞ることなく、複数案を四者協議の場に提起をしているわけであります。
しかし、一方では、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技会場の見直しをめぐり、ボート、カヌースプリント会場の変更先に浮上している宮城県長沼ボート場について、東京都が整備が五輪に間に合わない可能性が高いとの検証結果をまとめたことがわかったという報道があったわけですが、オール東京都として責任を持って、ボート、カヌー会場については、先ほどの答弁で三施設案を提案したことを改めて確認をさせていただきました。
次に、仮設施設について伺います。
施設の国と都の負担のあり方については、仮設施設は国の負担でつくるということになっているわけであります。海の森水上競技場を仮設レベルの施設として整備するという提案がありますが、この場合の費用負担は、組織委員会を想定しているのか、都を想定しているのか、どちらなのかお伺いいたします。
花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長
海の森水上競技場の検討案の一つでございます仮設レベルスマート案は、恒設の建物につきまして、供用期間が短く、簡素な仕様に変更することなどによりまして、整備費の縮減を図るという考え方でございます。
この場合も、現行計画と同様、恒設の施設として都の負担により整備するものと想定してございます。
石川委員
現行計画と同様であることが確認できました。
次に、新設の施設をつくることになっている競技団体は、予算に関係なく、青天井でベストの施設を求める傾向があることは確かなわけであります。しかし、他の競技やイベントへの汎用性に乏しい競技施設は、特に負のレガシーとならないようにするための努力と一定の責任を競技団体に負っていただくことも重要かと思います。
海の森水上競技場の五輪終了後の活用について、競技団体も参加して一定の責任を果たすことについて、どのように考えているのかお伺いいたします。
鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長
大会後の施設の有効活用を図る上で、水上競技について知識やノウハウを有する国内競技団体と連携していくことは重要なことと考えております。
海の森水上競技場では、競技団体の意向を踏まえ、大会後、年間三十大会を開催し、年間五十一回の強化合宿を実施する計画となっており、競技団体は、こうした取り組みの主催者等として、大会後の活用に一定の役割を果たしていただくことを想定してございます。
そのほか、都民の水上スポーツ体験等においても競技団体に主体的な役割を担ってもらうなど、来場者をふやし、収益確保につなげていく方策についても、今後さらに検討してまいります。
石川委員
レガシーとして建設された施設をレガシーとして維持していくためには、当然運営費がかかるわけであります。そのランニングコストを賄っていくためには、少なくとも海の森水上競技場の主たる利用者となる競技団体、ボート協会やカヌー連盟等々は施設運営へ積極的に参画をしていただき、答弁にあった大きな収益の見込める国際大会、国内大会の誘致はもちろんのこと、首都圏のボート、カヌーチームの新たな拠点としても活用していただけるような努力を求めておきたいと思います。
また、一般都民が家族で楽しめる水上レクリエーションの拠点としても活用していただけることや、アスリートが競技会や日常の練習の場とするなど、多角的に運営ができることが求められます。
レガシーであり続けるためのランニングコストと運営の収支予想を都として厳密に精査していただきたいと思っております。そのことが、このエリア全体の活性化につなげていく道となるわけであります。
ただ、海の森水上競技場は、海水面利用ということで、ボートやカヌー等の維持のためにはふさわしくないという選手もいるという報道もあったわけでありますけれども、どのように都として捉えているのか伺います。
花井オリンピック・パラリンピック準備局施設担当部長
ボート、カヌースプリント競技会場が海水であることにつきましては、国際競技団体より特段問題がないとの見解を得ており、トップアスリートの中にも、日ごろから海水域で練習を行っている方もいらっしゃると伺っております。
海の森水上競技場整備に当たりましては、競技や練習後にボートを水で洗い流すことが通例であることから、この場所におきましても、ボートを水で洗い流すための洗い場を設置する予定でございます。
石川委員
今、答弁にありましたように、海の森競技場の問題点として、まさに海水、塩分のことがいわれているわけであります。塩分は、金属類を容易にさびさせ、腐食をさせてしまいます。八人用のボートは一そう七百万円前後、一人用のボートでも一そう百五十万円前後の値段がして、海水の塩分の持つ腐食性には極めて弱いと聞いております。
海水であることで、競技会場や練習場としての利便性に課題があるという指摘もされているわけでありますけれども、こうした一部のアスリートの疑念を払拭できる対策と説明を今後ぜひお願いを申し上げたいと思います。
海の森は、かつて埋め立てが行われていた場所ですが、オリンピック会場に生まれ変わるということになった場合、水上スポーツのみならず、環境の大切さを伝える施設にしていくべきと考えますが、見解を伺います。
鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長
仮称海の森公園は、植樹が進み、緑豊かな公園に生まれ変わろうとしております。
海の森水上競技場は、この仮称海の森公園と一体的に活用していくこととしておりまして、歩行者や自転車の動線の連続性の確保や、飲食、宿泊施設の相互利用などを進め、一帯を水と緑に囲まれた都民のスポーツと憩いの場としてまいります。
また、持続可能な社会の実践例として、施設を子供たちの環境学習でも活用するなど、環境の大切さを次の世代に伝える場ともしてまいります。
石川委員
私も現地に行かせてもらいましたけれども、現状では工事用車両がほとんどで、自家用車で行く以外に足はないわけであります。
交通アクセスに課題があるわけでございますけれども、どのように解決をするのかお伺いいたします。
鈴木オリンピック・パラリンピック準備局開設準備担当部長
海の森水上競技場につきましては、中央防波堤外側と接続する臨港道路南北線の開通により利便性の向上が期待されることから、車での来場を想定した駐車場を整備してまいります。
また、東京テレポート駅や新木場駅からのバス路線の整備を検討するなど、関係各局や交通事業者と連携して、交通アクセスの改善に向けた取り組みを進めてまいります。
石川委員
バス路線の開通などは、平日でも日常的に人が集まるエリアとしていかなければならないわけであります。過大な見積もりをすれば、交通事業者が負担をかぶるということになるわけで、堅実な積み上げが求められることを指摘しておきたいと思います。
最後に、アクアティクスセンターの二万席を一万五千席に減らして五輪を開催することに問題がないのかどうかお伺いいたします。
小野オリンピック・パラリンピック準備局競技・渉外担当部長
IOCの基準では、オリンピックの競泳の観客席数は一万二千席となっておりますが、立候補ファイルでは、過去大会の実績や国内での水泳の人気を勘案いたしまして、二万席として準備を進めてきております。
今般、さらに一層のコストダウンを図るべきとの調査チームの報告を踏まえまして、一万五千席の案を検討することとなっております。
主要オリンピック会場の収容力、位置、構造等について立候補ファイルから変更する場合、IFなど関係者の理解を得てIOCの承認を得れば、変更することは可能でございます。
なお、リオ大会におきましても、競泳の会場は、立候補ファイルの一万八千席から、大会時は約一万五千席に変更されております。
石川委員
席を減らすことのデメリットは、チケット収入の減や観客席での観戦者が減ることが考えられますが、警備や交通アクセスも容易になり、混雑も緩和できるというメリットもあるわけでございます。リオデジャネイロ大会でも席を減らしているということで、IFの理解も得られやすいといえるわけであります。
席を減らすことで、後の改修等の負担がなくなり、レガシーとしての運営が容易になるということもあり、その方向の選択は積極的になさるべきと思っております。
今回、都政改革本部、オリ・パラ調査チームからのレポートは、先ほどの三会場の整備予算の見直し金額を提示しています。それによりますと、二〇一四年のアジェンダ二〇二〇発表後の見直し額として、海の森水上競技場について、都の提示は五百十九億円でしたが、二〇一六年、直近の見直し案では三百三十億円と百八十九億円縮小され、オリンピックアクアティクスセンターについては、六百八十三億円から、二〇一六年、直近の見直し案では五百三十億円と百五十三億円縮小、有明アリーナについては、四百四億円から、二〇一六年、直近の見直し案で三百七十億円と三十四億円の削減を見込んでおり、三会場だけを見直しても、現時点で合計三百七十六億円の削減の可能性を数字として挙げて、報道もされているわけであります。
新国立競技場計画の建設費も一千三百億円から始まり、予算額はどんどんと拡大し、最終的に、大会終了後に屋根をつけるというようなことになると、三千億円を超えるという試算までかつて出されたわけであります。最終的には、安倍総理の決断で白紙撤回となり、再検討後、千六百四十五億円ということに至った経緯もあったわけであります。
東京大会以降の二〇二四年の招致では、住民の反対や財政状況などから、ハンブルク、ボストン、ローマといった名立たる国際都市が招致から撤退する事態となったことは、今後の五輪大会の開催に当たって、二〇二〇東京大会がいかに五輪の将来にとって大きな役割を担っているかという証左であります。
今回の三会場の見直しについて、決定までに時間がないこと、特に競技団体からの意見聴取等も限られたのは、万やむを得ないことと理解をいたします。
いずれにしろ、二兆円とも三兆円ともいわれる開催のための全体費用を削減していく努力が求められます。収入は五千億円という限界がある以上、不足分は将来世代が活用できる公的財源を使うということになるわけでありますから、経費を下げる不断の努力が求められるわけであります。
今後、都、IOC、組織委員会、政府の四者の協議で決定されることになるわけでありますけれども、都の意向が少しでも反映されることを願って質問を終わります。

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