report 財政委員会速記録第十六号 2018年11月1日

出席委員 13名

委員長
大松あきら君
副委員長
おじま紘平君
副委員長
早坂 義弘君
理事
池川 友一君
理事
おときた駿君
理事
石川 良一君
 
つじの栄作君
 
清水やすこ君
 
大場やすのぶ君
 
秋田 一郎君
 
小磯 善彦君
 
山田ひろし君
 
清水ひで子君
欠席委員
1名

出席説明員

財務局

局長
武市 敬君
経理部長財政企画担当部長
オリンピック・パラリンピック調整担当部長兼務
初宿 和夫君
契約調整担当部長
五十嵐 律君
主計部長
山田 忠輝君
財産運用部長
山根 恭子君
利活用調整担当部長
鈴木 光祐君
建築保全部長
小野 幹雄君
技術管理担当部長
飯泉 洋君
庁舎運営担当部長
後藤 徹也君
オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長
小野寺弘樹君

収用委員会事務局

局長
佐藤 敦君

本日の会議に付した事件

収用委員会事務局関係

事務事業について(質疑)

財務局関係

事務事業について(質疑)

発言の抜粋

石川委員
免震ダンパー検査数値改ざん問題について伺います。
 平成十二年の雪印集団食中毒事件、そして三菱自動車リコール隠蔽事件、アクリフーズ農薬混入事件、ベネッセ顧客情報漏えい事件、オリンパス不正会計事件、中日本高速道路笹子トンネル事故、それ以外にも神戸製鋼や三菱マテリアル、日産自動車等、日本を代表する企業で不正が相次いで発覚をしております。ものづくり大国日本が大きく揺らいでいることに危機感を覚えざるを得ません。
 さらに今回、創業が大正八年という歴史を持ち、東京証券取引所一部に上場する油圧機器メーカーで、我が国の免震、制振オイルダンパーのトップメーカーであるカヤバシステム、KYBは、十月十六日、地震の揺れを抑える免震装置と制振装置で性能検査記録データを改ざんする不正があったことを発表しました。
 この発表を追いかけるかのように、川金ホールディングスの子会社、光陽精機でも、免震装置の検査データ改ざんが発覚をいたしました。川金ホールディングスに関係する装置は、都では使われていないようですけれども、全容はまだ明らかになっておりません。
 都民の安全・安心にかかわることであり、今後の詳細を厳しく都としてもチェックをする必要があるわけでございます。
 そこで、今回のデータ改ざん事件について対策を立てていくために、全体像を把握する必要があることから、何点かお伺いいたします。
 都では、多くの建築物を所有し、新たな施設の建設も毎年のように行われておりますけれども、地震大国日本では、建築物の耐震対策は大きな課題です。大きく分けて耐震、免震、制振の三つの耐震建築の手法があるわけですが、まず、都有建築物に免震、制振構造を採用する基準は何によりますか。また、都有建築物の免震、制振構造の整備状況はどうなっているのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
都有建築物の整備に当たっては、防災上の重要性に応じて、必要な耐震性能を確保してございます。大地震時において、建築物の機能の確保や収容物の安全性の確保が特に必要な建築物などに免震構造や制振構造が採用されております。
 具体的には、防災拠点となる庁舎や病院などが該当いたしまして、そのうち免震構造を採用している施設数は、昨年十月時点の調査で十九棟ございます。
石川委員
大地震でも施設の機能や収容物の安全を確保するため、防災拠点、病院、文化財の施設などを優先して導入していることになるわけであります。
 免震、制振技術の導入は、高いレベルの耐震機能を必要とする施設を選択して、その導入について決定をしているということでございます。実際に採用している施設は、学校、庁舎、消防、警察、もちろん医療関係施設もあるわけで、非常に幅広いわけでありますけれども、これらが採用されていることについて、後々きちっと説明が明確にできるような対応をしておいていただきたいと思います。
 免震、制振構造を採用する際に、財務局はどのようにかかわっているのかお伺いいたします。
飯泉技術管理担当部長
都では、都有建築物の基準として構造設計指針などを定めており、重要な防災拠点や救護施設など、大地震において機能確保が特に必要なものなどについて、免震構造、制振構造の採用が検討できるとしてございます。
 施設を所管する局は、これらの基準を準用し、必要に応じて財務局と調整を行い、採用を決定してございます。
石川委員
所管局から調整があった場合に、財務局も決定に参加するシステムになっているわけでありまして、財務局の方から工法を問うということはないということがわかりました。
 それでは次に、一般の耐震建築物に対して、免震構造を採用することによる建物のコストはどうなるのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
免震構造を採用することにより、免震装置のほか、地震による建物の変形に対応できる設備配管も必要でございます。また、竣工後は、定期的に免震装置などの維持管理を行う必要がございます。こうしたことから、耐震構造の建築物と比較すると、一般的にコストアップとなる傾向がございます。一方、地震による被害が低減されるため、損失に係る費用が抑えられることにもなります。
石川委員
免震工法の場合は、建物と建物を支える地中に埋めたくいとを切り離し、地震時の揺れを建物全体に伝えないための大がかりな工事が必要になるわけで、制振の場合も、ダンパーの取りつけ等、工事もふえるわけですが、数%から一〇%程度の建築費の増で済むというふうにいわれておりまして、一般的な耐震建築とは別の仕組みがあるということになるわけでありますけれども、免震構造を採用した場合、上部構造の断面は小さくなると聞いております。
 これら免震構造、制振構造を採用した場合、建築物の耐力は減少するのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
免震構造は、建物の基礎部などに免震装置を設置することにより、地震の揺れを建物本体に伝わりづらくする構造でございます。このことから、免震構造の建物は、耐震構造と比較いたしまして、一般的に柱やはりなどの構造体を小さくすることができます。しかしながら、免震装置を含む建物全体の構造耐力は、耐震構造の建築物より劣るものではございません。
 一方、制振構造は、建物の地上階に揺れを抑える装置を設置いたしまして、風や地震による揺れを低減する構造でございます。風の揺れによる居住性の低下を軽減する効果や、地震による長時間の揺れを防ぐ効果など、耐震構造の建築物に付加的に設置される場合があり、一概に構造耐力の比較ができるものではございません。
石川委員
免震構造は、揺れを免震ゴムとダンパーで吸収することから、答弁にありましたように、上に乗る柱、はりなどは小さ目で、壁も薄目でもよいということで、その分、工事費が低減できることで、大規模な免震工事でもわずか数%の建設費の増で済むということなわけであります。
 今回の免震ダンパーの検査データの改ざんを引き起こす要因も、建築物のいわばアンダーグラウンドにあることと思わざるを得ないわけであります。くいは地面に埋まっていますし、免震装置はわざわざ免震層に行かなければ見えません。オイルダンパーも壁の中に隠れてしまっている場合が大半であります。人目に触れないということが心理的に不正を引き起こしやすいといえるわけであります。
 基本的に、免震装置やオイルダンパーは、大地震が起こるまでは性能差を感じることができないわけであります。また、別の建物同士で比較もできないので、多少性能が劣っていても一度設置してしまえばわからなくなる点も、不正をやりやすくしている可能性があるわけであります。
 ということから、過去の耐震偽装問題として、いわゆる姉歯問題がありました。建築基準法では、構造計算のチェックが義務づけられるなど再発防止が講じられましたが、発注者として、都ではどのような対応してきたのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
本件は、建築士によって構造計算書が改ざんされ、既に入居済みのマンションなどで耐震基準を満たしていないことが明らかになった件でございます。
 本件を踏まえて平成十九年に建築基準法が改正され、理事お話しのとおり、一定規模以上の建築物に対して第三者機関による構造計算のチェック、いわゆる構造計算適合性判定が行われるようになりました。
 一方、発注者である都といたしましても、明快な構造計画の立案や設計図書と構造計算書との整合性の確認などを適切に実施することが重要でございます。
 このため、建築構造に係る研修を実施し、職員の技術力の向上を図るとともに、基本設計時に設計担当者以外の職員が構造計画や構造設計の考え方について確認するなど適切に対応しているところでございます。
石川委員
平成十七年に、姉歯元一級建築士による構造計算書の偽造が発覚することに端を発する一連の事件を指す耐震強度偽装問題、構造計算書偽装問題が大きな話題となったわけであります。平成八年ごろから、国土交通大臣認定構造計算ソフトを改ざんすることで、マンション等の構造計算書を偽造してきたわけであります。
 平成十八年には札幌市で、別の建築士による構造計算書の偽造が発覚をするなど、業界の構造的な問題が指摘をされました。
 地震国の日本において、建築基準法に定められた耐震基準を満たさないマンションやホテルが建設されていたという事実は、人命や財産にかかわるものであることから大きな社会問題となったわけであります。都の建築確認事務もかかわっており、都でも対応を迫られたわけであります。
 こうした問題を受け、平成十九年には建築基準法、平成二十年には建築士法の改正、構造計算適合性判定や建築確認の厳格化、構造一級建築士の導入が定められ、改ざん防止機能つきの新たな構造計算プログラムが導入されるなどの対応策がとられたわけであります。
 また、データ偽装ということになりますと、くいのデータ流用等が平成二十七年に発覚をしていますが、都の対応はどうだったのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
理事お話しの件は、民間マンションにおきまして、L字型に接した二棟の建物をつなぐ部分で約二センチメートルの段差が生じていることを、管理組合が事業主に指摘したことに端を発しまして、調査を進めた結果、二次下請のくいの施工会社がデータを流用していたことが明らかになった件でございます。
 都有建築物では、九件でくいに関するデータの流用が明らかになり、それらについて施工記録や現場調査により施工状況を確認し、構造安全上問題がないことを確認してございます。
 また、再発防止のため、工事の仕様書を改正し、施工記録が取得できなかった場合の代替措置をあらかじめ定めておくなどの対策を講じてございます。
石川委員
横浜市のマンションで、強固な地盤にくいが届いておらず建物が傾いた問題で、旭化成建材が基礎工事のくい打ちで他のくいの記録を転用するなどのデータ改ざんをしていたことが、平成二十七年十月に発覚をしたわけであります。旭化成建材は、過去十年間に施工したくい打ち工事三千四十件のデータのうち三百件前後が改ざんに該当するといっております。
 さらに、国交省は、平成二十七年三月、東洋ゴム工業が製造、販売した建築物の免震機構に用いられるゴム製部品について、不良品の出荷や性能データの偽装があったと発表しております。日本国内の自治体の庁舎、マンション、病院などで使用されており、棟数は五十五に及んでおります。
 東洋ゴムは、平成十七年以降に製造し、国内十八社に納入した百八十九種類、計八万七千八百四個の防振ゴムで不正を確認したと発表いたしました。納入先に確約した規格値に満たない場合に、データを改ざんして報告したり、実際に試験を行っていないのに過去の試験データを転記したりしていたわけであります。
 平成二十七年に、今回と同様の免震構造における偽装として、東洋ゴム工業による大臣認定に適合しない製品の出荷などの問題があったわけでありますけれども、都の対応について伺います。
飯泉技術管理担当部長
本件は、免震装置に用いられているゴムについて、東洋ゴム工業が国土交通大臣の認定基準を満たさない製品を販売していたことや、不正な申請書を提出し、大臣認定を取得していたことが明らかになった件でございます。
 本件につきまして、東洋ゴム工業の不適合品を使用した都有建築物はございません。
石川委員
幸い、東洋ゴム工業製品を都では使われていなかったわけであります。
 ただ、東洋ゴム工業は、防振ゴムと一連の不正問題が続いたことから行われました社内調査について、複数の取締役が不正の事実を認識しながら、問題が発覚した後も情報を再度修正したということがわかり、ずさんな調査と組織ぐるみの先送り体質が浮き彫りになったというような報道もあり、教育に例えると学級崩壊、企業倫理崩壊といわれる状況を呈していたわけであります。
 こういった事態を受けて、都では、東洋ゴムの問題発覚時に、免震ゴムやダンパーなど、この時点で都の免震、制振装置に使われている免震装置やダンパーについて、製造メーカーに安全性の問い合わせを行ったのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
平成二十七年三月、免震構造の都有建築物を把握するため、各局に対し、施設名や装置メーカーなどについて調査を行いました。
 その結果、先ほどご答弁させていただきましたが、東洋ゴム工業の免震材料が使われていないことを確認しており、特段メーカーへの問い合わせは行ってございません。
石川委員
免震については調査をしたわけですけれども、制振構造の物件については、特に調査は行っていないということでございます。
 これまでの全体の流れを概観しますと、我が国のものづくりの信頼は地に落ちてきており、性善説や信頼を前提に進めていくと、都民の安全や安心に大きな瑕疵を生む可能性があることが明らかだというふうにいえるわけであります。
 今私の方から質問した、これまでの建築にかかわる偽装に対して、再発防止策を講じてきたにもかかわらず、今回、KYBの免震や制振装置のオイルダンパー検査データ改ざん問題が発生をしました。
 現段階で、都の施設への影響について伺います。
飯泉技術管理担当部長
都は、先月十七日、国土交通省が不適合として公表したオイルダンパーの型番と同一の製品が、都有建築物七施設に出荷されていることを公表いたしました。
 現在、各施設の工事の受注者等に対して、不適合かどうか調査するよう指示を行っており、不適合または不明となった場合は、当該ダンパーの交換が必要となります。
 したがいまして、工事中の施設については、契約期間内での交換に向けて調整を行っていくことになり、また、既に竣工し使用されている施設については、工事の受注者等を含む関係者と交換に向けて調整をしていくことになります。
石川委員
流れはわかりました。
 そこで、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技会場の整備で水泳会場で使われた免震、制振措置は、国の基準を満たしていないおそれがあることが発覚をし、工期に間に合わなくなる可能性が出てきたとの指摘がありますが、どう対処をするのか伺います。
小野寺オリンピック・パラリンピック施設整備担当部長
現在、工事の受注者を通じまして、当該製品が適合しているかどうか確認を行っているところでございます。仮に、ダンパーが不適合と判断された場合でありましても、竣工時期を勘案しまして、交換の時期や方法について検討いたして問題のないように対応してまいります。
 引き続き、東京二〇二〇大会に影響が出ないよう、しっかり工事のスケジュール管理を行ってまいります。
石川委員
工期についてはしっかりと対処していただきたいと思います。
 小池知事は、十月二十六日の記者会見で、都庁舎で使われているKYB社製に対して、不適合な製品は交換を求めるが、KYB側が適合というものでも、検証を必要としている、例えばサンプルを取り出して、第三者機関や都の立ち会いによる検査も検討すると表明をしておりますけれども、都は、油圧ダンパーの独自調査を具体的にどのような方法や時期に実施をするのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
都有建築物七施設については、現在、工事の受注者等に対して不適合かどうか調査するよう指示を行っており、仮に、ダンパーが不適合または不明と判断された場合は交換を求めることとなります。その際、交換用のダンパーの性能確認については、第三者機関や都が立ち会うなど都として主体的に対応してまいります。
 なお、時期については、現時点で未定でございます。
石川委員
都としても責任を持った対応をお願いしたいと思います。
 今回の問題で確認をしておきたいのが、国土交通省の新聞報道などを通じての見解でございます。
 国の公表によると、今回の不適合製品が設置されていたとしても、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれがないとの見解が出されておりますけれども、都としてはどのように理解をしているのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
理事お話しのとおり、国土交通省の公表資料によると、不適合のダンパーが設置されている一部の建築物において構造安全性を検証した結果、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれがないとの見解が第三者機関から得られていると聞いてございます。
 都有建築物七施設については、現在、工事の受注者等に対して、不適合かどうか調査をするよう指示を行っているところでございまして、今後、仮に不適合または不明と判断された場合は、その建築物の構造安全性の検証を行い必要な措置を求めていくことになります。
石川委員
そもそも免震工法を例に挙げますと、病院で導入する理由は、地震で大きな揺れがあると、建物は倒壊しなくても医療機器を初めとする医療資材に損傷が出てしまうと医療行為そのものができなくなるので、揺れを和らげる免震工法を導入したわけで、最初の質問での、病院や文化財保全を初めとする防災拠点と、その目的とする機能を維持するために導入したということを忘れてはならないわけであります。建物が倒壊しなければよいというわけでありません。
 今後、しっかりと改修工事を進められることになるかと思いますが、機能の維持が可能かチェックをしていただきたいと思います。
 ダンパー検査データ改ざんの疑いがある建物も、全て、今回の問題で公表されているわけではありません。しかし、公的施設はそういうわけにはいかないわけであります。
 都民に対して、今回の問題をどのように伝え、また、再発防止に努めていくのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
都では、先月十六日の国土交通省などによる本事案の公表を受けまして、速やかに調査を実施し、翌十七日に、都有建築物七施設に同一の製品があることを公表いたしました。現在、その七施設について、工事の受注者等に対して不適合かどうか調査するよう指示を行っており、その結果が明らかになり次第、その事実や対処方法を随時都民に情報提供してまいります。
 また、国土交通省は、十月二十六日、今回の件を受け、再発防止の検討などを行うための有識者委員会の設置を表明いたしましたが、その委員会での検討状況も注視しながら、都として適切に対応してまいります。
石川委員
わかりました。
 都内では、品川区の本庁舎は、国の基準以下のKYB社製ダンパーを使用していたことが明らかになっており、そのほかにも、新宿区本庁舎を初め役所のかなりの本庁舎も使用の疑いが浮上してきております。
 役所本庁舎は、防災拠点であることのみならず、役所機能を維持しなければならない重要な施設なわけであります。もちろん、おのおのの自治体が安全性の確認、取りかえ工事を行う責任があるわけですけれども、これだけ多くの都内基礎自治体が関係していることから、オイルダンパー問題は、都としてはしっかり情報公開や状況把握をする必要があると考えるわけであります。
 都有施設だけではなく、区市にもKYBのオイルダンパーを設置した施設があることは明らかなわけであります。都と区市とのデータ改ざん問題での連携について伺います。
飯泉技術管理担当部長
公共建築物における技術的な課題の協議を行う定例会などを通じまして、区市と情報交換を行うとともに、区市からの相談に対して助言するなど、都と区市での連携を密にし、対処してまいります。
石川委員
次に、今回の事案に関与した工事事業者についてお伺いいたします。今回の事案における工事事業者には、どのように指示をしているのか伺います。
飯泉技術管理担当部長
都は、都有建築物七施設の工事の受注者等それぞれに対しまして、使用または出荷されているオイルダンパーが不適合かどうか調査するよう指示を行っております。調査の結果、仮に不適合または不明と判断された場合は、ダンパーを交換するよう受注者等に求めてまいります。
石川委員
わかりました。
 次に、今回の事態は、免震、制振工法を信頼して発注をした都に対する、いわば裏切り行為といってもしかるべきものといえるわけであります。仮に工期が間に合わなくなるということになれば、都としては大損害となるわけであります。信賞必罰ではありませんけれども、よいことは褒めたたえ、悪いことはしっかりと罰することで、倫理や秩序は維持されるわけであります。
 今回の事案に関与した工事事業者についてお聞きをいたします。工事事業者に対して指名停止などの処分に該当するのかどうか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
都では、入札参加資格を有する事業者が、東京都競争入札参加有資格者指名停止等措置要綱が定める要件のいずれかに該当する事実を発生させた場合、指名停止措置を講ずることとしております。
 現時点では、オイルダンパーの施工を含む工事を請け負った事業者が、指名停止等措置要綱の要件に該当しているという事実は把握しておりません。
石川委員
三十年間で七〇%の確率で東京直下型地震が起こるというふうにいわれております。このことからしますと、もう既にいわれ始めて四、五年時間がたっているわけでありますから、日を追うごとに、結果として確率はふえるというふうにもいえるわけであります。
 万が一、交換までの期間に地震が発生した場合、本来のオイルダンパーの機能で防げた被害が生じるおそれがあるわけであります。そのときには、工事事業者に責任が生じるのではないですか、いかがですか。
飯泉技術管理担当部長
都有建築物七施設のうち、都立松沢病院など三施設は既に工事が完了しており、建物が使用されております。この施設に使用されているオイルダンパーが、仮に不適合または不明と判断された場合は、その状況での構造安全性を検証してまいります。
 仮に、検証結果で、本来求めていた機能のダンパーが設置されていないことによって被害が生じたことが明らかになれば、工事の受注者等に対して必要な措置を求めていくことになります。
石川委員
いわば賠償を、概括的には受注者であるゼネコン等の建築業者に求めていくことになるわけであります。
 新たに、川金ホールディングスのオイルダンパーのデータ改ざんが発覚をしたわけでありますけれども、今回の事案を受け、国では、オイルダンパーを製造したメーカーに対して同様の事案の有無について報告を求めていると聞いております。
 万が一同じ事案が発生した場合に備え、免震構造だけではなく制振構造についても点検を行うべきではないかと考えるわけでありますけれども、いかがですか。
飯泉技術管理担当部長
仮に、KYBとその子会社であるカヤバシステムマシナリー以外のメーカーが製造したダンパーについて、不適切な事案が明らかになった場合は、その製品の型番と同じ製品を使用している都有建築物について、KYBなどの場合と同様、不適合かどうか調査を行う必要がございます。
 このためにも、免震構造だけではなく、制振構造の建築物についてもその実態を把握する必要があり、現在、各局に対して施設名や装置メーカーなどの調査を行っているところでございます。
石川委員
財務局として全体を把握しておいていただきたいと思います。
 このような事態を迎えて、今後、免震構造、制振構造の導入についてどう考えているのかお伺いしたいと思います。
飯泉技術管理担当部長
今回、免震、制振用オイルダンパーのメーカーによる検査工程の不適切行為が明らかになったものの、免震構造や制振構造の建築物における地震に対する効果は、過去に発生した地震で実証されてございます。
 本事案について適切に対応することで、免震、制振装置の信頼性を確実に担保し、今後も各局と連携し、必要に応じて免震構造や制振構造を採用し、地震などに強い都有建築物の整備を進めてまいります。
石川委員
免震、制振構造に問題があったわけではなく、部品に問題があったわけで、耐震対策として有効であり、今回の問題をしっかりと乗り越えていただきたいと思います。
 これまで、今回のKYB問題を軸に、当面の対応や免震構造、制振構造に係る都の取り組み体制等について、るる伺ってきたわけであります。質問を通じて、これまでの偽装問題との相違点や現段階での解決への課題も明らかにしたところでございます。
 KYB問題はまだ解決の途上にあり、引き続き全力で取り組んでいただきたいわけでありますけれども、制振、免震に対する信頼を低下させることなく、さらに今後、都民の安全・安心を確保していくために、どのように公共建築物の品質確保に取り組んでいくのか、局長の決意を伺います。
武市財務局長
首都直下地震などの大地震から都民の生命と財産を守るため、建築物の耐震化などに全力で取り組んでいる中、今回の事案が発生したことは大変遺憾でございます。都庁舎あるいは東京二〇二〇大会の会場を含みます都有建築物七施設におきまして、先ほど部長からも答弁申し上げましたとおり、現在、ダンパーの適合性を調査している最中でございます。
 国土交通省の資料によりますと、震度六強から七程度の地震に対して倒壊するおそれはないといわれてはおりますものの、都民の皆様に一刻も早く安心していただけるよう早急に必要な対策を講じ、東京都として安全性を確保、確認してまいります。
 本日お話のありました過去のデータ偽装問題などの事例から得られた経験なども生かしながら、各局と連携しまして、都有建築物のさらなる安全・安心の確保に努めてまいります。
石川委員
ただいま、局長からの都有建物に対する安全確保に向けた力強い決意を聞かせていただきました。
 ただし、この問題は、まだまだこれからが正念場でございます。都有建築物の安全性に関しては、いま一度、全庁一丸となった取り組みを進化させていくことを強く求めるものであります。
 都では、平成二十九年に、都有施設等総合管理方針というすばらしい冊子ができ上がったわけで、これでございます、そんなに厚くはありませんけれども。いわゆる普通会計だけではなくて公営企業会計にかかわる施設も全て網羅をして、管理方針を策定しているわけであります。
 今回のこうした経験を踏まえ、免震、制振の問題に関しては、ぜひこの管理方針に明記されている全庁的な技術職員の会議の中で議論を諮っていくこと、また、公営企業を含めた都有施設全体に係る中長期的な計画である都有施設等総合管理方針を次回更新する際には、こうした免震、制振の取り組みについてもその中に位置づけ、統括局としてまず、実態を把握し、さらに、全庁的な共有を図ること、最後に、こうした全庁的な視点からの対応を要望しておきたいと思います。
 また、オイルダンパーの問題は、国会でも議論がされているわけではありますけれども、この二十年ほどの間に続いた偽装やデータ改ざん等に対して、再発を防ぐための法的な対応も必要ではないかというふうに思っているわけであります。
 こういった点については、都からも、国に対して、しっかりと法改正が必要であればそのような対応もしていただきたい、このことを求めておきたいと思います。
 次に、株式会社エム・テックについて伺います。
 十月一日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した株式会社エム・テックが、スポンサー支援を得られず、十月二十二日、再生手続廃止決定を受けたわけであります。民事再生法申請時の負債は二百五十三億四千九百三十三万円ということでございます。今後、破産手続に入っていくというものであります。
 都との関係では、東京オリンピック・パラリンピック関連施設の建設を請け負っており、エム・テックは、江東区のテニス競技の関連施設を十五億五千万円で受注をしていたわけでありますけれども、工事は中断をしているということでございます。
 エム・テックが受注したオリンピック施設関連工事は、有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事で、オリンピック開催時のテニス競技会場となる有明テニスコロシアムの改修などは別の工事者が手がけ、エム・テックはテニスコート十七面、一万九千六百二十四平方メートルのセミハードコート舗装や競技用照明塔の設置などを請け負っていたわけであります。ほかにも、カヌースラローム会場の管理棟建設も請け負っています。
 エム・テックがオリンピック施設である有明テニスの森公園に係る工事契約の受注者となった経緯について伺います。
五十嵐契約調整担当部長
有明テニスの森公園(二十九)施設改修その他工事の契約手続につきましては、一般競争入札による契約案件として、平成二十九年六月十二日に案件の公表を行っております。
 株式会社エム・テックを構成員とする建設共同企業体、いわゆるJVを初め、計十者が入札への参加申し込みを行い、その後、辞退三者を除く七者が応札し、平成二十九年七月二十八日に開札した結果、エムテック・塚本JVが落札者となったものでございます。契約金額は、税込みで十六億七千九百四十万円、落札率は九〇・四%でございます。
石川委員
当然落札をしたわけでありますから、入札資格基準はクリアをしていたわけであります。
 平成二十九年七月に、JV方式による十五億五千万円で落札をした、これは消費税を加えると答弁のような数字になるわけでありますけれども、二十九年十月着工で、来年七月に完成の予定だったわけであります。完成まで一年を切り、ラストスパートに差しかかるはずが、民事再生法の申請で工事は中断したままということでございます。
 さらに、エム・テックは十月二十一日付で、下請業者などに、施主、東京都との請負工事を解除したため、貴社との契約も解除させていただくと通知をしております。工事がエム・テックの手を離れることで、今後の見通しは不透明となっているといえるわけであります。
 さかのぼりますと、今回の前兆として、平成三十年、ことしの三月に、一部の公共工事で手続の不備や施工上の問題が発生し、東京地検から港則法違反で起訴されたことで、二百以上の自治体から指名停止処分を受ける不祥事が発生しております。この不祥事の際、都はどのような対応をとったのか伺います。
五十嵐契約調整担当部長
財務局発注の工事における港則法違反容疑により、株式会社エム・テック及び同社従業員が、平成三十年三月十四日付で東京地方検察庁に起訴されたことに伴いまして、指名停止等措置要綱に基づき、五月二十二日付で一カ月の指名停止としたところでございます。
石川委員
もうこの時点で要注意事業者だったというふうにいえるわけであります。エム・テックが破産手続に移行することで、都に対する経済的損失の可能性はあるのかお伺いいたします。
五十嵐契約調整担当部長
有明テニスの森公園の整備につきましては、株式会社エム・テックの破産手続に伴いまして工事が現在とまっている状況でございまして、現在、清算のための検査に向けて準備を進めているところでございます。
 検査がまだ終了しておらず、明確なことは申し上げられませんが、前払い金として、既に都が支払っている金額以上に工事の出来高があるという場合には、都の経済的損失はないものと考えております。
 また仮に、工事の出来高が前払い金を下回る過払いの状況になっているという場合でも、JVが加入している前払い金保証契約により、JVにかわって保証会社が都の経済的損失を補償するということになっております。
石川委員
経済的な損失は免れるということでございますけれども、一方では、工事完了の時期が問題になるわけであります。JVで仕事を共同して工事を進めていたわけでありますけれども、工事がとまったということでございます。
 今後どのような方法で、契約内容を確実に履行させるのか伺いたいと思います。
五十嵐契約調整担当部長
先ほど申し上げましたとおり、本工事は、エムテック・塚本JVにより施工しているものでございます。現在、都では、清算のための検査に向けて準備を進めるのと同時に、残るJVの構成員と契約をそのまま維持して工事を継続するのか、契約を解除するのかにつきまして協議を行っている最中でございます。
 いずれにいたしましても、都としては、できる限り工事を早期に再開し、東京二〇二〇大会はもとより、来年の秋に予定されているテニスのテストイベントなどに支障が出ないよう、施行部門と協力しながら、あらゆる努力をしてまいりたいと考えております。
石川委員
エム・テックは、東日本大震災復興工事などを手がけて、ここで急成長したというふうにいわれております。しかし、会社のコンプライアンスに、基本的なところで問題があったということが、また一方で明らかになったわけであります。
 先ほど来質問させていただきましたダンパー問題、免震ダンパー等々、制振を含めたダンパーの問題につきましても、やはり企業のコンプライアンス、このことが最終的には問われるわけであります。
 ぜひこういった点に対しては、今まで以上にしっかりとした対応をしていただきたいというふうに思っておりますし、また、エム・テックの件につきましては、答弁にありましたように、オリンピック・パラリンピックに悪い影響を与えないようにしっかりとした対応を求めて、質問を終わります。

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